この記事のポイント
Azure CLIは、Azureリソースを管理するためのクロスプラットフォーム対応のコマンドラインツール- Windows、macOS、Linuxにインストール可能で、直感的な操作とスクリプト自動化が特徴
- 基本的なコマンドでリソースグループ作成、VM管理、ストレージアカウント操作などが可能
- 定期的な更新が推奨され、プラットフォームごとに更新方法が異なる
- スクリプト化による自動化や、トラブルシューティングのポイントも紹介されている
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域：自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
Azure環境の運用をより効率化するためには、どのようなツールが適しているのでしょうか。
こうした疑問に応えるクロスプラットフォーム対応のコマンドラインツールが「Azure CLI」です。
この記事では、Azureリソースの管理作業を簡素化し、自動化するためのAzure CLIの基本情報から使い方、更新・アンインストール方法までを幅広く解説します。
また、Azure CLIとAzure PowerShellとの違いや、スクリプト自動化の実例も紹介し、トラブルシューティングのポイントも提供します。
この記事を読めば、Azureの管理をよりスムーズに、かつ効率的に行うための知見が得られることでしょう。
Azure CLI とは
Azure CLI (Azure Command-Line Interface) は、Microsoft Azure のリソースを管理するためのクロスプラットフォームのコマンドラインツールです。
Azure CLIを使用すると、Azure の仮想マシン、データベース、ストレージアカウントなどを簡単に管理できます。
また、直感的な操作が可能で、スクリプトの自動化やDevOpsワークフローに統合するのに適しています。
- クロスプラットフォーム対応（Windows、macOS、Linux）
- コマンドラインインターフェースによる直感的な操作
- スクリプトの自動化や DevOps ワークフローへの統合が容易
Azure CLIとAzure PowerShellの違い
Azure CLI と Azure PowerShell はどちらも Azure のリソースを管理するためのツールですが、いくつかの違いがあります。
- Azure CLI
クロスプラットフォーム (Windows, macOS, Linux) で動作し、Bash や他のシェルで使用することが多い。
- Azure PowerShell
Windows 環境での使用が一般的で、PowerShell スクリプトでの管理に適している。
それぞれの環境や目的に応じて、使い分けることが推奨されます。
Azure CLIのインストール方法
Azure CLIは、Windows、macOS、Linuxの各プラットフォームでインストールできます。
以下に、それぞれの手順を紹介します。
Azure CLIをWindowsでインストールする
-
Microsoft インストーラー (MSI) を使用してインストールできます。
-
コマンドプロンプトまたは PowerShell を開き、以下のコマンドを実行します。
curl -sL https://aka.ms/InstallAzureCLIDeb | sudo bash
Azure CLIをmacOSでインストールする
-
Homebrew を使用してインストールします。
brew update && brew install azure-cli
Azure CLIをLinuxでインストールする
-
公式のリポジトリからインストールできます。
curl -sL https://aka.ms/InstallAzureCLIDeb | sudo bash
Azure CLIのプロシキ設定(Azure CLI Proxy)
Azure CLIをプロキシ経由で使用する場合、環境変数を設定する必要があります。
以下の環境変数を設定します。
export HTTP_PROXY=http://proxy-server:port
export HTTPS_PROXY=https://proxy-server:port
これにより、Azure CLI は指定したプロキシサーバーを経由して通信を行います。
Azure CLIの使い方
Azure CLIを使用することで、Azureリソースの作成、管理、監視などの操作を効率的に行うことができます。
ここでは、基本的な使い方とよく使われるコマンドをいくつか紹介します。
リソースグループの作成
Azure でリソースグループを作成する例です。
az group create --name MyResourceGroup --location eastus
仮想マシンの作成
az vm create --resource-group MyResourceGroup --name MyVM --image UbuntuLTS --generate-ssh-keys
Azureアカウントにログイン
Azure CLI を使用して Azure アカウントにログインするには、以下のコマンドを使用します。
az login
ブラウザが開き、Azure アカウントの資格情報を入力するように求められます。成功すると、CLIでアカウント情報が表示されます。
Azure CLIのよく使われるコマンド
リソースグループの一覧表示
az group list
仮想マシンの停止
az vm stop --resource-group MyResourceGroup --name MyVM
ストレージアカウントの作成
az storage account create --name mystorageaccount --resource-group MyResourceGroup --location eastus --sku Standard_LRS
Azure CLIのバージョン確認
Azure CLI のバージョンを確認するには、以下のコマンドを実行します。
az version
Azure CLIのコマンド一覧
Azure CLI には多くのコマンドがあります。以下は主なコマンドのカテゴリです。
リソースグループ管理（az group）
az group create：リソースグループを作成するaz group delete：リソースグループを削除するaz group list：リソースグループの一覧を表示するaz group show：リソースグループの詳細を表示する
仮想マシン管理（az vm）
az vm create：仮想マシンを作成するaz vm delete：仮想マシンを削除するaz vm list：仮想マシンの一覧を表示するaz vm start：仮想マシンを起動するaz vm stop：仮想マシンを停止する
ストレージアカウント管理（az storage）
az storage account create：ストレージアカウントを作成するaz storage account delete：ストレージアカウントを削除するaz storage account list：ストレージアカウントの一覧を表示するaz storage account show：ストレージアカウントの詳細を表示する
ネットワークリソース管理（az network）
az network vnet create：仮想ネットワークを作成するaz network vnet delete：仮想ネットワークを削除するaz network vnet list：仮想ネットワークの一覧を表示するaz network vnet show：仮想ネットワークの詳細を表示する
これらは一部の例であり、Azure CLI には他にも多くのコマンドがあります。
詳細については、Microsoftの公式ドキュメントを参照してください。
Azure CLIの更新方法
Azure CLI を最新バージョンに更新する方法は、プラットフォームによって異なります。
以下に、それぞれの手順を示します。
Windows
az upgrade
macOS
brew upgrade azure-cli
Linux
sudo apt-get update && sudo apt-get install --only-upgrade -y azure-cli
Azure CLIのアンインストール方法
Azure CLI をアンインストールする方法も、プラットフォームによって異なります。
Windows
コントロールパネルから「プログラムの追加と削除」を開き、Azure CLI をアンインストールします。
macOS
brew uninstall azure-cli
Linux
sudo apt-get remove -y azure-cli
Azure CLIを用いたスクリプトの自動化例
Azure CLI を使用して、スクリプトを作成することで日常的な管理タスクを自動化できます。
例えば、定期的に仮想マシンを起動・停止するスクリプトを作成することができます。
#!/bin/bash
az vm start --resource-group MyResourceGroup --name MyVM
az vm stop --resource-group MyResourceGroup --name MyVM
このようなスクリプトを作成し、cronジョブなどで定期的に実行することで、手動での操作を減らすことができます。
Azure CLIのトラブルシューティング
Azure CLIを使用する際に、よくある問題とその解決方法を以下に示します。
「az」 コマンドが見つからない
解決方法: 環境変数 PATH に Azure CLI のインストールパスを追加します。
認証エラー
解決方法: az login コマンドを再度実行して、正しい資格情報でログインします。
他にも問題が発生した場合は、公式ドキュメントのトラブルシューティングガイドを参照するか、コミュニティフォーラムで質問してください。
Azure CLIの使用例
Azure CLIは、様々なシナリオで使用することができます。
仮想マシンのスケールアップ
仮想マシンのサイズを変更する場合、Azure CLIを使用すると簡単に行うことができます。
az vm resize --resource-group MyResourceGroup --name MyVM --size Standard_DS2_v2
ストレージアカウントのセキュリティ強化
ストレージアカウントに対して、セキュリティの設定を行うことができます。
az storage account update --name mystorageaccount --resource-group MyResourceGroup --https-only true
仮想ネットワークのサブネット追加
仮想ネットワークにサブネットを追加する場合、Azure CLIを使用すると簡単に行うことができます。
az network vnet subnet create --resource-group MyResourceGroup --vnet-name MyVNet --name MySubnet --address-prefixes 10.0.1.0/24
これらの例は一部ですが、Azure CLIを使用することで、様々な操作を自動化し、効率的に行うことができます。
まとめ
この記事では、Azure CLIの概要、インストール方法、使い方、コマンド一覧、更新方法、アンインストール方法、トラブルシューティング、利点、ベストプラクティスと注意点、使用例について解説しました。
Azure CLIは、Azure環境を管理するための強力なツールであり、クロスプラットフォーム対応、直感的なコマンド構造、自動化の容易さなどの利点があります。適切にAzure CLIを使用することで、Azure環境の管理をより効率的に行うことができます。
ぜひ、この記事を参考にAzure CLIを活用し、業務の生産性向上につなげてください。Azure CLIの機能は継続的に拡張されているため、定期的に最新情報をチェックすることをお勧めします。
