この記事のポイント
- Microsoft Entra Connectは、オンプレミスのActive DirectoryとMicrosoft Entra IDを同期し、一貫したID管理を実現するツールです。
- 利用者にはシングルサインオンや統一されたユーザーエクスペリエンスのメリットがあります。
- 管理者にとっては、ID管理の簡素化、セキュリティとコンプライアンスの向上が主なメリットです。
- Microsoft Entra Connect Healthを使用することで、同期サービスの健全性を監視できます
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
オンプレミス環境とクラウドの間で一貫したID管理を行いたいと考えるIT管理者にとって、Microsoft Entra Connectは必要不可欠なツールです。
この記事では、Microsoft Entra Connectの概要と特徴について解説し、ID管理の効率化とセキュリティ強化に役立つ情報を提供します。
ハイブリッドクラウド環境の構築を検討中の方は、ぜひご一読ください。
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目次
Microsoft Entra Connectとは(旧 Azure AD Connect)
Microsoft Entra Connectを使用するメリット
Microsoft Entra Connectとは(旧 Azure AD Connect)
Microsoft Entra Connectは、オンプレミスのActive DirectoryとMicrosoft Entra IDを統合するためのツールです。主な役割は、ユーザー、グループ、その他のオブジェクトをオンプレミスとクラウドの間で同期することで、一貫したユーザー認証とID管理を実現します。
これにより、従業員はオンプレミスとクラウドの両方で同じ認証情報を使用でき、シームレスなアクセス体験を得られます。IT管理者にとっては、ID管理の複雑さが軽減され、セキュリティが強化されるメリットがあります。
Microsoft Entra Connectは、組織のデジタルトランスフォーメーションを支援し、効率的なハイブリッドIT環境の運用を可能にする重要なツールといえます。
【関連記事】
→Microsoft Entra ID(Azure AD)とは?機能やAzure ADとの違いを解説
Microsoft Entra Connectのアイコン
Microsoft Entra Connectの主な機能
- ディレクトリ同期
オンプレミスのActive DirectoryとMicrosoft Entra ID間でユーザー、グループ、連絡先などのオブジェクトを同期します。
- パスワードハッシュ同期
オンプレミスのユーザーパスワードをMicrosoft Entra IDに同期し、シングルサインオンを実現します。
- パススルー認証
ユーザーがMicrosoft Entra IDにサインインする際、オンプレミスのActive Directoryで直接認証を行います。
- フェデレーション統合
Active Directory フェデレーションサービス(AD FS)との統合により、シングルサインオンを実現します。
これらの機能により、Microsoft Entra Connectは、オンプレミスとクラウドの間でシームレスなID管理とユーザー認証を可能にします。
Microsoft Entra Connectを使用するメリット
Microsoft Entra Connectを使用することで、管理者と利用者の両方にメリットがあります。それぞれの立場からみた主なメリットを以下に解説します。
利用者側のメリット
- シングルサインオン(SSO)
利用者は、オンプレミスとクラウドの両方のリソースに対して、同じ認証情報で アクセスできます。
これにより、複数の認証情報を管理する手間が省け、生産性が向上します。
- 一貫したユーザーエクスペリエンス
オンプレミスとクラウドが シームレスに統合されているため、利用者はどこからでも一貫した操作性を享受できます。
これは、リモートワークやモバイルワークを支える重要な要素です。
管理者側のメリット
- ID管理の簡素化
Microsoft Entra Connectによる同期機能により、管理者はオンプレミスとクラウドのユーザーアカウントとアクセス権限を一元的に管理できます。これにより、ID管理の効率が大幅に改善されます。
セキュリティとコンプライアンスの向上
多要素認証(MFA)や条件付きアクセスポリシーなど、Microsoft Entra IDの高度なセキュリティ機能を容易に適用できます。これにより、セキュリティ基準の遵守とコンプライアンス要件の充足が簡単になります。
【関連記事】
→Azureのセキュリティ対策を徹底解説!主要機能や製品、導入事例も紹介
Microsoft Entra Connectの活用シーン
Microsoft Entra Connectは、以下のようなシチュエーションで特に有効です。
- クラウド移行
オンプレミスからクラウドへの移行を計画している企業にとって、Microsoft Entra Connectは移行期間中のID管理の一貫性を維持するために不可欠です。
- ハイブリッド環境の運用
オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド環境を採用している企業では、Microsoft Entra Connectがシームレスなユーザー体験と効率的なID管理を実現します。
Microsoft Entra Connectの料金プラン
Microsoft Entra Connectの同期機能自体は、Microsoft Entra IDのどのライセンスレベルでも利用できます。
つまり、同期プロセスそのものはライセンスレベルに依存せず、無料で使用可能です。
*参考:Microsoft
ただし、Microsoft Entra Connect Healthによる監視機能を利用するには、以下のいずれかのライセンスが必要です。
- Microsoft Entra ID Premium P1
- Microsoft Entra ID Premium P2
- Microsoft Entra ID Governance
これらのライセンスは、高度なセキュリティ機能やIDガバナンス機能を提供するとともに、Microsoft Entra Connect Healthの利用を可能にします。
組織のセキュリティ要件とID管理のニーズに基づいて、適切なライセンスを選択することをおすすめします。
Microsoft Entra Connectの実装と監視
Microsoft Entra Connectを適切に実装し、その運用を監視することは、オンプレミスとクラウド間の連携を確実なものとするために重要です。
ここでは、実装のポイントと監視ツールについて説明します。
実装のポイント
- 入念な計画
ディレクトリ構成、同期対象、同期頻度などを事前に明確にしておきます。
- 環境の準備
オンプレミスとクラウド双方の環境がインストールの要件を満たしていることを確認します。
- 的確な構成
組織のニーズに合わせて最適な同期オプションを選択します。
- 機能の検証
インストール後は、同期が目的通りに機能しているかを確認します。
同期の検証画面
- バックアップと復元
不測の事態に備えて、環境のバックアップと復元計画を用意します。
監視ツール;Microsoft Entra Connect Health
Microsoft Entra Connect Healthは、同期サービスの健全性を監視し、問題の検出と解決を支援する優れたツールです。
主な機能は以下の通りです。
- 同期エラーの検出
同期プロセスで発生したエラーを特定し、詳細情報を提供します。
- パフォーマンスの追跡
同期の実行状況とパフォーマンスメトリクスを可視化します。
- アラートとレポート
重要な問題が発生した場合にアラートを発し、定期的にレポートを生成します。
Microsoft Entra Connect Healthを活用することで、管理者は同期サービスの安定運用と迅速な問題解決を実現できます。
まとめ
本記事では、Microsoft Entra Connectの概要と特徴について解説しました。Microsoft Entra Connectは、オンプレミスのActive DirectoryとMicrosoft Entra IDを同期し、一貫したID管理を実現するための重要なツールです。利用者にはシングルサインオンと統一されたユーザーエクスペリエンスをもたらし、管理者にはID管理の簡素化とセキュリティ強化のメリットがあります。
適切な実装と監視は、Microsoft Entra Connectの効果的な運用に不可欠であり、Microsoft Entra Connect Healthなどの監視ツールを活用することで、同期サービスの健全性を維持し、問題の早期発見と解決が可能になります。
組織がハイブリッドIT環境の構築を検討する際には、Microsoft Entra Connectの採用を積極的に検討することをおすすめします。Microsoft Entra Connectを導入することで、オンプレミスとクラウドの連携を強化し、ユーザーの生産性向上とIT管理の効率化を実現できるでしょう。