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Azureのリージョンとは?その特徴や違い、選び方を徹底解説!

この記事のポイント

  • Azureリージョンは世界60以上の地域に展開され、高可用性と法規制準拠を実現
  • リージョン選択は、パフォーマンス、コスト、コンプライアンスなど多様な要因を考慮
  • リージョン間接続方法には、Virtual Network Peering、ExpressRoute、VPN Gatewayなどがあり、用途に応じて選択可能
  • 日本では東日本・西日本のペアリージョン構成で冗長性を確保
  • 将来的にはコンテナ型や海底データセンターなど、新たな展開も期待される

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

クラウドサービスの選定において、データセンターの所在地、つまり「リージョン」は非常に重要な要素です。
グローバル展開を進めるMicrosoft Azureでは、世界各地に多数のリージョンを設置し、ユーザーのニーズに応えています。

しかし、その概要や選択基準について詳しく理解している方は多くないのが現状ではないでしょうか。

そこで本記事では、Azureのリージョンの特徴や利点、最適なリージョン選択のポイントについて解説します。また、各リージョンの法規制への準拠、パフォーマンスやコストへの影響など、具体的な事例を交えながらお伝えします。

本記事を通じて、自社のビジネス要件に合ったリージョン選びのヒントを得ていただければ幸いです

Azureのリージョンとは

Azureのリージョン
Azureのデータセンター位置

Azureのリージョンとは、地球上の異なる地理的位置に設置された複数のデータセンター群を意味します。これらは、Microsoft Azureが世界中に展開し、サービスの安定性と高い可用性を実現するための基盤となっています。

この分散配置により、自然災害や地政学的リスクの影響を最小限に抑え、ユーザーに安定したクラウドサービスを提供できます。

Azureはリージョンごとにその場所の法規に準拠しています。
例えば、欧州のリージョンではGDPRに対応し、アジアのリージョンでは地域特有の規制要件を満たしています。

また、リージョン間での冗長配置により、一箇所での障害が他に影響を与えにくい設計となっています。


Azureのリージョン設定は、新規リソースのデプロイ、サービスの拡大、災害復旧・対応、コストの見直しの際などに利用されます。

Azureのリージョン設定
Azureのリージョン設定

Microsoftのデータセンターとは

Microsoftのデータセンターは、同社のクラウドサービスの基盤として機能しており、そのネットワークは世界中に広がっています。

Azureのデータセンター
データセンター

  1. Azureリージョン: 60以上
    Azureリージョンは、世界中の特定の地理的な場所に設定されており、それぞれのリージョンが地域ごとのユーザーへのサービス提供を最適化しています。
    これにより、アプリケーションのパフォーマンスが向上し、地理的な冗長性が確保されます。

  2. データセンター: 300以上
    世界中に300以上のデータセンターを展開し、広範なカバレッジを提供しています。
    これらのデータセンターは高いセキュリティ基準を備えており、データの永続性と安全性を保証します。

  3. ネットワーク: 280,000キロメートル以上
    Microsoftは、データセンター間をつなぐ広範なネットワークを保有しており、これによりデータの迅速な転送と効率的なコミュニケーションが可能になっています。

  4. ネットワークPoP (Point of Presence): 190以上
    PoPは、ネットワークのハブとして機能し、ユーザーがクラウドリソースに高速にアクセスできるようにする地点です。
    これらは世界中の戦略的な場所に設置されており、低遅延での接続を実現しています。

Azureリージョンの特徴

Azureのリージョンごとに見ると、それぞれ固有の特徴と提供されるサービスの組み合わせが異なります。

これは、Microsoftが地域の需要、インフラストラクチャの能力、および戦略的な事業計画に基づいてリージョンを設計しているためです。

例えば、あるリージョンはAIと機械学習のサービスに特化している一方で、別のリージョンはより広範な汎用的なサービスを提供 する場合があります。

Azureリージョンごとの比較
Azureリージョンごとの比較


各リージョンの特色とサービス

米国西部、日本東、インド中部といった具体的なリージョンは、それぞれ異なるサービスを提供しており、企業や個々の必要要件によってそれらのリージョンを使い分けることができます。
日本にいるから日本のみしか選択できないわけではなく、米国を選ぶことも可能ということです。

リージョンごとのサービスの違いを確認したい場合は、リージョン別の利用可能な製品

また、リージョンを選ぶ際には多くのことを考慮する必要があります。

例えば、地域におけるデータ主権の要求負荷能力や接続状況さらにはユーザーのアクセスパターン、コスト、パフォーマンス(遅延)、データ主権、準拠およびコンプライアンスなど多岐に渡ります。
具体的には以下のようなことが挙げられます。

使い方によって必要要件は様々です。
例えば、以下のようなものが挙げられます。

- 米国西部リージョンはオンラインゲーム企業にとって、リアルタイムデータ処理が求められる作業に向いているといわれています。
<br>
- 欧州連合(EU)に対応するリージョンでは、General Data Protection Regulation (GDPR) などのEUの厳格なデータプライバシー法律を充足する必要があります。
<br>
- 日本東リージョンは日本の規制に適合しながら高速なアクセスを提供できることは、日本国内の企業やユーザーにとって理想的な選択です。


ユーザーがサービスを選ぶ際には、リージョンが提供するサービスと特徴の全範囲を考慮した上で選ぶことが重要です。


最適なリージョンの選び方3選

最適なリージョンを選ぶ上で主要なポイント3選をご紹介します。

  1. **サービスの受け手が存在する場所に近い位置にあるリージョン


これにより、低遅延を実現し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。

  1. 利用にかかる料金
    リソースやネットワークトラフィックの料金がリージョンによって異なるケースがあるため、コスト効率の高いリージョンを選択することも重要です。

  2. 法律への準拠
    ビジネスが運営される地域の法律や規制に適合するリージョンを選びましょう。
    特にEUのGDPRのようなデータ保護規則が適用される場合には非常に重要です。


リージョン間の接続方法別の利点および、適用場面

リージョン間の接続を活用することで、リージョン間データレプリケーションを通じて高可用性と災害復旧を確保できます。
このようなアーキテクチャは、リージョン間によるデータ同期の際の遅延や、トラフィック管理の複雑性などのパフォーマンス上の検討事項も含まれます。

以下に具体的な連携方法の例をご紹介します。

1.低レイテンシーと高帯域幅が必要な場合 【Azure Virtual Network Peering】

  • 利点
    低レイテンシーで高帯域幅の接続が可能。リージョン間でも、プライベートIPアドレスを使用してリソース間で直接通信できる。

  • 適用シナリオ
    マルチリージョン展開を行う大規模アプリケーションや、リアルタイムデータ同期が必要なアプリケーション。

2.オンプレミスネットワークとの安定した接続が必要な場合 【Azure ExpressRoute】

  • 利点
    インターネットを経由しないため、安定した接続と高いセキュリティを提供。大量のデータ転送や厳格なパフォーマンス要件に適している。

  • 適用シナリオ
    オンプレミスのデータセンターとAzureクラウド間での頻繁なデータ転送や、セキュリティ要件が高い企業ネットワークの接続。

3. コスト効率とセキュリティのバランスが求められる場合 【Azure VPN Gateway】

  • 利点
    インターネット経由でセキュアな接続を提供。比較的低コストで実装可能。

  • 適用シナリオ
    限られた予算内でセキュリティを確保しつつ、異なるリージョン間の安全な通信が必要な中小規模プロジェクト。


【関連記事】
➡️Azure VPN Gatewayとは?構成図や料金、設定方法をわかりやすく解説

4. グローバルなトラフィック分散が必要な場合 【Azure Traffic Manager】

  • 利点
    DNSレベルでのロードバランシングにより、ユーザーに最適なリージョンへのトラフィックルーティングが可能。地理的な近接性に基づくレスポンス時間の最適化。

  • 適用シナリオ
    グローバルに分散したユーザーベースを持つウェブアプリケーションやサービス。リージョン障害時の自動フォールオーバーが必要な場合。


Azure 西日本リージョンの拡大から見る展望

2023年3月に日本Microsoftは、西日本において新たにデータセンターを拡大したことを報告しています。
これは、急速に高まっているクラウド需要に対して容量を拡大したことを意味します。

マイクロソフトは東日本リージョン・西日本リージョンのペアリージョン構成で冗長性高い運用をしています。

また、マイクロソフトは僻地でも利用可能なコンテナ型のデータセンターや、海底データセンターも持っています。

コンテナ型のデータセンター
コンテナ型のデータセンター

海底データセンター
海底データセンター


世界どこでもクラウドのデータセンターが使える日もそう遠くはないかもしれません。


まとめ

本記事では、Microsoft Azureのリージョンについて広範囲かつ詳細にわたって解説しました。
初めに、Azureリージョンの基本的な理解を深め、リージョンがなぜ重要であるかを説明しました。リージョン間の物理的な差異、データ保護法や規制への準拠、そしてサービス提供における冗長性と特化の概要を取り上げました。

Azureのリージョンを理解し、これらの知識をもとに自社の要求に最適なリージョンを選定することは、クラウドリソースを効果的に活用し、企業戦略を成功に導く上で不可欠です。今回の記事が、Azureのリージョンを選択する際の参考情報となり、読者がAzureを最大限に活用するためのガイドラインとなることを願います。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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