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Azure仮想マシン(Azure VM)のコストを安くする方法をわかりやすく解説!

この記事のポイント

  • 仮想マシンの種類や構成を最適化し基本コストを削減
  • Azure予約で最大72%、スポットVMで最大90%のコスト削減が可能
  • Azure Cost Managementでコストを可視化し無駄を特定
  • 自動スケーリングやStart/Stop機能で運用コストを最適化
  • リソースのタグ付けとアラートでコストを継続的に管理

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

クラウドサービスの普及に伴い、Azure仮想マシン(VM)の利用が増加する一方で、コスト管理が重要な課題となっています。特に、適切なリソース管理や割引オプションの活用方法について、多くの企業が最適な選択に悩んでいるのではないでしょうか。

本記事では、Azure仮想マシンのコストを効果的に削減する方法を詳しく解説します。コストの可視化から始まり、リソースの最適化、そして様々な割引オプションの活用まで、具体的な手順とともに説明します。

特に、Azure予約やAzure節約プラン、スポットVMといった割引オプションの特徴や使い分け、自動スケーリングやStart/Stop機能による運用コストの最適化など、実践的な施策を紹介します。また、Azure Cost Managementを活用したコストの可視化や継続的な管理方法についても触れていきます。

Azure仮想マシンの運用コスト削減を検討している方々に、本記事が具体的な指針となれば幸いです。

Azure Virtual Machines(AzureVM)とは

Azure仮想マシン(VM)は、MicrosoftのクラウドプラットフォームAzure上で提供される仮想コンピュータです。
ユーザーは物理的なハードウェアを購入することなく、クラウド上でWindowsやLinuxの環境を利用できます。

これはPCの中に仮想のPCがもう1つ入っているようなイメージを想像してもらえれば分かりやすいとおもいます。

Azure VM
Azure Virtual Machines ページ

Azure Virtual Machines(AzureVM)の主な用途

Azure Virtual Machinesは、MicrosoftのクラウドサービスAzure上で提供される仮想マシンで、さまざまな用途に対応できる柔軟なコンピューティング環境を提供します。以下は、その主な用途です。

  • 開発・テスト環境:アプリケーションの開発や動作検証、テストを行うためのサーバーとして活用。
  • アプリケーションデプロイ:本番環境へのアプリケーションの展開やパフォーマンス検証に使用。
  • ミドルウェアの実行:Webサーバーやアプリケーションサーバーなどのミドルウェアを運用。
  • 既存OSのバックアップ:既存のOS環境を仮想マシンとしてバックアップし、必要に応じて復元可能。
  • OS互換性の解決:本来サポートされていないOS上でのソフトウェアやアプリケーションを仮想環境で実行。
  • 負荷の高いアプリケーションの運用:計算リソースを大量に消費するアプリケーションを効率的に運用。

Azure Virtual Machinesは、さまざまなシリーズを提供し、それぞれの用途に応じたリソースや性能を選べる点が特徴です。特に、異なるOSでアプリケーションを実行できる点は、仮想マシンの強みを最大限に生かした利用方法と言えます。

ただし、Azure Virtual MachinesはIaaS(Infrastructure as a Service)に分類されるため、ハードウェアやOSは提供されますが、ミドルウェアやアプリケーションはユーザー側で準備する必要があります。

Azure Virtual Machines (VM)はどんなものなのか知りたい方は、AI総合研究所の次の記事をご覧ください!
Azure Virtual Machines(VM)とは?料金体系やシリーズ毎の特徴を解説


Azure Virtual Machinesで提供される仮想マシン(VM)の種類

Azure Virtual Machinesでは様々な種類の仮想マシン(VM)があります。
大きく分けて11の種類があり、更にそれぞれに世代やシリーズがありたくさんの選択肢の中から選ぶことができます。

以下に大きく分けた11種のシリーズの名称、特徴、開始価格、ワークロードの例を表にまとめました。参考にしてください!
(開始価格はそのシリーズ内で最も低いスペックや構成で利用可能な最小の料金を指しています。詳しい価格については後ほど説明します!)

シリーズ 特徴 開始価格 ワークロード例
A シリーズ 開発とテストに適したエントリーレベル ¥1,756.97/月 開発/テスト用サーバー、小規模データベース
Bs シリーズ 経済的なバースト対応 ¥571.02/月 開発/テスト用サーバー、低トラフィックWebサーバー
D シリーズ 汎用コンピューティング ¥6,259.19/月 エンタープライズアプリケーション、データベース
E シリーズ メモリ内アプリケーション向け ¥8,784.83/月 SAP HANA、大規模データベース
F シリーズ コンピューティングに最適化 ¥5,380.71/月 バッチ処理、分析、ゲーム
G シリーズ メモリとストレージに最適化 ¥48,206.71/月 大規模SQLデータベース、SAP
H シリーズ ハイパフォーマンスコンピューティング ¥87,408.96/月 気象シミュレーション、財務分析
Ls シリーズ ストレージに最適化 ¥68,521.60/月 NoSQLデータベース、データウェアハウス
M シリーズ メモリ最適化 ¥168,668.55/月 SAP HANA、大規模メモリ内ワークロード
Mv2 シリーズ メモリ最適化された最大のVM ¥2,449,866.70/月 SAP HANA、超並列コンピューティング
N シリーズ GPUが有効なVM ¥98,829.23/月 ディープラーニング、グラフィックレンダリング

このたくさんの選択肢の中から、それぞれの用途に応じて仮想マシン(VM)を選ぶのは大変です。

そこで、Azure Virtual Machinesのサイトには仮想マシンセレクターが用意されています。
ニーズと予算に合わせて仮想マシンを提案してくれます。ぜひ活用してください!
仮想マシンセレクター

Azure Virtual Machines(AzureVM)のコスト

Azureのコストは次の要素によって計算されます。

  1. 仮想マシンのシリーズ:VMのシリーズによってコストは異なります。ニーズに合わせた適切なシリーズの選択が必要です。

  2. 仮想マシンの構成:VMのサイズはコストに直接影響します。VMのサイズはCPUコア数、メモリ量、ストレージ容量などによって決定され、それぞれの量が大きく大規模な仮想マシンになるほど高コストになります。

  3. 稼働時間:VMの稼働時間に基づいてコストは増加します。すなわち使用した時間が長いほどコストが増えます。

  4. OSの種類:Windows OSを使用するVMは、ライセンス費用が追加されるため、Linux OSを使用するVMよりもコストが高くなります。

  5. リージョン:VMをデプロイするAzureのリージョンによって料金が異なり特定のリージョンでは他のリージョンよりもコストが高くなる場合があります。

  6. 適用プラン:従量課金制、節約プラン、予約インスタンス(後ほど説明します!)によってお得に利用できる場合があります。

これらを踏まえて、Azure Virtual Machinesのサイトには価格表があります。たくさんの種類の中から上記の内容を選択し、自分の知りたい仮想マシンのコストを調べることができます。
実際に汎用的なシリーズの価格を検索してみました!

仮想マシンの料金計算
仮想マシンの料金計算
仮想マシンの料金計算

更に、他のAzure製品と任意の組み合わせで使用する場合の月間コストを見積もるためのツールも用意されています。
Azure Virtual Machinesを運用する場合、他の製品と組み合わせて使用する場合が多いので、包括的に計算できるのは便利なのでぜひ活用してみてください!

Azureサービス料金計算ツール
Azureサービス料金計算ツール
Azureサービス料金計算ツール


Azure Virtual Machines(AzureVM)のコスト節約3ステップ

それでは、本題のAzure仮想マシンのコスト節約法についてお話します!

コストを下げることには複数のメリットがあります。直接的な金銭的節約はもちろんのこと、その節約された資金を他のビジネス分野へ再投資することで、長期的に企業の成長を促進することができます。またコスト効率の良い運用はリソースの無駄遣いを減らすため、持続可能なビジネスに貢献するとも言えます。

Azure仮想マシンのコストを最適化しコストを節約するには、以下のステップを参考にするとよいでしょう!

  1. コストの可視化

    • Azure Cost Managementの利用
    • リソースに強制タグ付け
    • コストアラートの設定
  2. リソースの最適化

    • 仮想マシン(VM)のスペックを最適化
  3. 割引オプションの活用

    • Azure予約の活用検討
    • Azure節約プランを利用して長期コストを削減

上記ステップを踏むことで、最適なコストに近づけることができます。それではステップごとに解説していきます!


コスト可視化戦略

現状の利用状況を把握することは、コストを最適化する上で大事なステップです。
まずは、コストの可視化方法から解説していきます!

Azure Cost Managementの利用

Azure Cost Managementは、Azureのリソースに関するコストを追跡、管理、最適化するためのツールです。ユーザーは、消費しているリソースやコストの詳細な分析を行い、予算の設定やコストアラートを利用して、無駄な支出を抑えることができます。さらに、リソースごとのコスト割り当てや、不要なリソースの削除、最適化提案を行うことで、より効率的なクラウド運用を支援します。

もちろん、無料で利用できるのでぜひ活用してみてください!

Azure Cost Management
Azure Cost Management

リソースへの強制タグ付け

対象である、Azure Virtual Machinesリソースに対して強制タグ付けをしましょう。そうすることで、仮想マシンのコスト分析をしやすくなります。
タグを付与するためには、Azure Policyを設定する必要があります。

コストアラートの設定

Azure Cost Managementのコストアラートは、予算や使用量が設定した閾値に達した際に通知を受け取るための機能です。これにより、ユーザーは予算超過を防ぎ、コストの急増を早期に発見できます。アラートは、特定のリソースやサービスに対してカスタマイズ可能で、Eメール通知などでリアルタイムの対応が可能です。また、アラートの設定には柔軟性があり、定期的なレポートや通知が可能です。
更に詳しい内容は公式のドキュメントを参照してください。

コストのアラートを使用して使用量と支出を監視する

リソースの最適化

Azure仮想マシンの稼働率の確認と最適化は、効率的なコスト管理の要です。Azure PortalやAzure Advisorを活用して、VMのCPU使用率や稼働状況を定期的にチェックし、使っていないVMは削除、あるいはサイズを縮小します。今後の使用を見越して小さいVMに変更し、必要時に適切なスペックに戻すのも効果的です。

さらに、Start/Stop VMs機能を使えば、特定の時間帯にのみ稼働するVMを自動でオン・オフすることができ、手動操作の手間を省きつつコストを削減できます。

より効果的なコスト管理のための追加ポイント

  1. スケールの柔軟な利用:リソースの使用状況に応じて、必要に応じたスケールアップ・スケールダウンを行うことで、余剰のコストを削減します。
  2. 定期的な監査と最適化:VMの利用状況は時間とともに変わるため、定期的に監査を行い、リソースの過剰・不足をチェックし最適化を継続することが重要です。
  3. 自動化ツールの活用:Azure AutomationやAzure Policyを活用して、仮想マシンの運用ルールを自動化し、効率的なコスト管理を図ります。

こうした施策を組み合わせることで、Azure仮想マシンの利用コストを効果的に抑え、リソースの無駄遣いを最小限にし、よりスマートな運用が可能になります。


割引オプションの活用

節約

Azure仮想マシンには、コスト削減のための複数の割引オプションがあります。これらを上手に活用することで、運用コストを大幅に抑えることが可能です。
今までのステップよりも簡単に、プランを変更するだけでも大きな恩恵を得ることができます。
それぞれの割引オプションについてまとめていきます。

1.Azure予約(Azure Reservation)

Azure予約は、仮想マシンのリソースを1年または3年単位で事前に予約することで、従量課金制に比べて最大72%の割引を受けられるプランです。
もちろん、3年の方が割引率は高いため今後確実に利用する予定であればこちらを契約すると良いでしょう。

予約は、指定された仮想マシンのサイズ、リージョン、またはOSを指定して利用することが可能で、事前に支払うことでコスト予測が容易になり、長期的な経費削減を実現します。

また、Azure予約は一括での支払い以外にも、毎月の支払に分割することも可能です。それによる割引額の差はないので適切な支払い方法を選択しましょう。

2.Azure節約プラン(Azure Saving plan)

Azure節約プランは、特定のリソース使用量に基づいた割引プランです。このプランを利用すると、従量課金制よりも長期的な割引が適用され、1年または3年の契約期間でリソースを低コストで利用できます。節約プランは、仮想マシンだけでなく、他のAzureサービスにも適用できるため、仮想マシンに限らずさまざまなリソースに割引が適用されます。この柔軟な仕組みにより、リソースの使用量に応じた柔軟なコスト削減が可能です。

これらを踏まえて、予約の方はより安定したワークロードに適しており、節約プランは変動が多く複数のリージョンで利用する場合に適しています。

3.Azure Spot Virtual Machines

スポットVMは、Azureが提供する余剰リソースを活用することで、通常の仮想マシン料金よりも大幅に安い価格で利用できるオプションです。
価格は通常料金よりも最大で90%以上割引されることもあります。一時的なリソースとして利用され、低優先度のジョブや中断可能なワークロードに最適です。

ただし、リソースが必要な場合、通知なしでVMが中断されるリスクがあるため、特定の用途に限って使用することが推奨されます。

4.Azureハイブリッド特典(Azure Hybrid Benefit)

オンプレミスのWindows ServerやSQL Serverの既存ライセンスをAzureに移行する際に、追加のライセンス費用を削減できるプランです。この特典を利用することで、ソフトウェアのライセンスコストを最大85%節約できます。つまり、ライセンスの二重支払いを避けることで移行コストを抑えることができます。

これらのオプションをキャンセルや割引率の情報を追加して表にまとめてみました。

以下は、Azureの割引オプションに関する情報を表にまとめたものです。

Azure予約(Azure Reservation) Azure節約プラン(Azure Savings Plan) Azureハイブリッド特典(Azure Hybrid Benefit) Azure Spot Virtual Machines
割引率 最大80% 最大65% 最大85% 最大90%
コミットメント 特定のリージョン、リソースサイズ、数量、時間 時間 既存のオンプレミスライセンス Azure全体の空きリソース
期間 or 従量課金制 1年または3年 1年または3年 従量課金 従量課金
支払方法 一括(前払い)、月払い 一括(前払い)、月払い 月払い 月払い
交換/払い戻し 可(制限あり) 不可 ライセンスがなくなった際に特典を削除可能 不可

まとめ

Azure Virtual Machinesは、クラウド上で柔軟かつスケーラブルなコンピューティングリソースを提供し、多くの用途に対応できるため、多くの企業で活用されています。しかし、コスト管理は重要な課題です。

Azureには、コストを削減するための複数の割引オプションが用意されています。Azure予約は安定したワークロードに対し、特定のVMを長期的に割引で使用できます。Azure節約プランは、より柔軟にリソースやリージョンを跨いでコスト削減を実現し、動的なワークロードに適しています。

また、Azureハイブリッド特典は、オンプレミスのWindows ServerやSQL ServerのライセンスをAzureに移行する際にライセンス費用を削減し、コストの二重支払いを避けることができます。スポットVMは、一時的な低優先度のワークロードに対し、最大90%の割引でAzureの余剰リソースを利用できるオプションです。

これらの割引オプションを活用し、適切にリソースを管理することで、Azure仮想マシンの運用コストを大幅に削減し、ビジネスの効率化を図ることが可能です。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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