この記事のポイント
- この記事は、Microsoft Copilot Studioの特徴や使い方などについて解説しています。
- Microsoft Copilot Studioは、AIを利用してユーザーの業務プロセスを改善するローコードプラットフォームです。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
マイクロソフトが開発者やデータサイエンティストを支援する新たなAIアシスタント「Microsoft Copilot」に続き、そのエコシステム内に「Copilot Studio」を追加しました。
本記事では、Microsoft Copilot Studioの特徴から使い方、メリット、料金構造、そして利用時の懸念点について詳しく解説していきます。Copilot Studioは、AIを利用して業務プロセスを改善し、ユーザーが簡素化されたインターフェイスと強力なカスタマイズ機能を使って自社に合わせたAIアシスタントを作成・管理できるローコードプラットフォームを提供しています。
また、事前に作成されたテンプレートや既存のMicrosoft製品との統合によるコミュニケーションの強化など、手間のかかる作業の効率化を追求しています。
この革命的なツールがどのように様々な業務をサポートし、企業のイノベーションと競争力を高めるのか、その実現の可能性に迫ります。
目次
Microsoft Copilot Studioとは?
Microsoft Copilot Studioデモページ
Microsoft Copilot Studioは、Microsoft 365用AIアシスタントであるMicrosoft Copilotをパーソナライズし、ローコード環境でオリジナルのCopilotを開発できるプラットフォーム です。単純な質問への回答から、より複雑な対話が求められる問題解決に至るまで、内外部向けに多様なシチュエーションや特別な要望に応えるチャットボットの設計と展開を容易に行えます。
Copilotとは
Copilot概要
Microsoftが出しているAIアシスタントがCopilotシリーズです。
ちなみにCopilotとは副操縦士(コ・パイロット)の意味で、あなたのAIアシスタントになってくれる強い味方です。
Copilotにはいくつかの種類があり、Copilot, Copilot Pro, Copilot for Microsoft 365, Copilot Studio , Github Copilotの5種類に大きく分けられます。
また、サービスの目線から見るとCopilot製品は多岐にわたっています。
Copilotサービス搭載製品(筆者作成)
本記事ではCopilot Studioについて取り上げますが、他のCopilot製品の概要を知りたい方は関連記事をご覧ください。
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➡️Microsoft Copilotとは?できることや料金をわかりやすく解説
Copilot Studioの特徴
Copilot Studioの特徴は以下の通りです。
簡単に説明すると、簡単に高機能なチャットbotが安全に作れる月額課金のサービスというと理解しやすいのではないでしょうか。
ローコードのカスタマイズ
Copilot Studioを使用すると、直感的なインターフェイスと事前に構築されたテンプレートのおかげで、ユーザーは最小限のコーディング知識でAIアシスタントをカスタマイズおよび構築できます。
生成AIプラグイン
ユーザーはCopilot Studio内で生成AIプラグインを活用してAIアシスタントの機能を強化し、より高度な対話と応答を可能にすることができます。
手動トピック作成
Copilot Studioには手動トピック作成のオプションが用意されており、ユーザーはAIアシスタントの会話フローと対話を完全に制御できます。
データ統合
このツールは、Lakehouseテーブル、Power BIデータセット、データフレームなどのさまざまなデータソースとの統合をサポートしており、ユーザーはAIアシスタント内で直接データを分析および視覚化できます。
アクセス制御とセキュリティ
Copilot Studioは、AIアシスタントが組織内で安全に導入および運用されることを保証するための堅牢なアクセス制御とセキュリティ機能を提供します。
分析と洞察
このツールは、AIアシスタントのパフォーマンスに関する分析と洞察を提供し、ユーザーが使用状況を追跡し、傾向を特定し、長期にわたってAIエクスペリエンスを最適化できるようにします。
Microsoft Copilot Studioの使い方
実際の使用例を提供し、どのような状況でCopilot Studioが役立つかを説明します。
ここでは、デモ利用の方法と実際のCopilot Studioページの利用方法をご紹介します。
ブラウザ上でのお試し利用方法
-
Copilot Studioのトライアルページに移動します。
-
学習データとしてWebページの記入を求められますので該当ページのURLを入力します。チャットを開始ボタンを押してください。
URLの入力
-
学習が終わるとチャットページに遷移します。最初英語でCopilotが話しかけてきますが、日本語で質問すると日本語で答えてくれます。しっかり答えてくれていますね。
チャット利用ページ
以上で、デモ利用が可能です。
本格運用の際の利用方法
- Copilot Studioにサインインする。
アカウントを持っていない方はマイクロソフトの無料アカウントを作成してください。
ライセンスを既にお持ちの場合は以下のように出ますので続行してください。
サインイン画面
- Copilot StudioでCopilotを作成する
Copilot Studio画面
カスタムCopilotを作る方法と、Microsoft Copilotを拡張する方法が選択肢としてあります。カスタム方法は種々の方法があり、デモページのようにホームページのURLを入力するパターン、Azureのデータをつなげる、PDFを読み込ませるなど多様な方法が対応可能です。
テストCopilotの作成
- 公開方法
公開ページ
公開ページの公開ボタンを押すことでTeamsやslack、自社ホームページなどにCopilotを展開することが可能になります。
Copilot Studioの料金
Copilot Studio の価格情報は次の通りです。
オファリング | Microsoft Copilot Studioの価格 |
---|---|
開始価格(設定料金は含まれません) | 1テナントあたり月額$200 |
無料トライアルあり | 60日間 |
- 課金形態
Microsoft Copilot Studio は、有料サブスクリプションサービスです。
- 開始価格
Copilot Studio の開始価格は、25,000メッセージの場合、テナントあたり月額200ドルです。 追加のメッセージ パックは個別に購入できます。
- 無料トライアル期間
60日の無料トライアル期間があります。また、ブラウザ上で簡単にお試し利用することも可能です。
【関連記事】
➡️Azureの料金体系を解説!サービスごとの料金例や確認方法も紹介
Copilot Studio導入時のチェックポイント
Copilot Studioを企業に導入する際、データの扱いには注意が必要です。Copilot Studioは堅牢なセキュリティがありますが、公開して良いデータかどうかは企業は自身で判断する必要があります。
- 組織データの使用に関する懸念
CopilotがMicrosoft Graphの電子メール、チャット、ドキュメント、カレンダーイベント、連絡先などの独自の組織データにどのようにアクセスして使用するかに関する懸念。
- データのプライバシーとセキュリティ
Copilotを使用する際の組織の情報とデータのプライバシーとセキュリティに関する懸念。
これには、Copilotが組織データを保護し、GDPRやEUデータ境界要件などの規制への準拠を保証する方法を理解することが含まれます。
- ユーザーインタラクションについて保存されたデータ
ユーザーが入力したプロンプト、Copilotによって生成された応答、Copilotの応答の根拠となる引用など、Copilotとのユーザーインタラクションに関して保存されたデータに関する懸念事項。
- データの保存場所
Copilotによって処理されたデータがどこに保存されるか、およびMicrosoft製品条項およびデータ保護補遺に概説されているデータ保存義務に準拠しているかどうかに関する懸念。
- Webコンテンツプラグインの使用
CopilotがWebから情報(具体的にはBing検索インデックス)を取得してチャットの回答を強化できるようにするWebコンテンツプラグインの使用に関する懸念。
これにより、プライバシー、セキュリティ、およびWebから取得した情報の制御に関する疑問が生じます。
- 不正行為の監視
Microsoftがレビューとモデレーションの目的で顧客データにアクセスできるかどうかを含め、Copilotに対する不正行為の監視がどのように行われるかに関する懸念。
まとめ
Copilot StudioとAzureは、どちらもMicrosoft社が提供するチャットボット構築プラットフォームですが、その価格体系には大きな違いがあります。Copilot Studioは月額課金制を採用しているのに対し、Azureでは従量課金制が適用されます。
月額課金制のCopilot Studioは、利用量に関わらず一定の費用が発生するため、予算管理がしやすいというメリットがあります。一方、従量課金制のAzureは、利用量に応じて費用が変動するため、利用状況に合わせた柔軟な運用が可能です。
チャットボットを導入する際には、自社のニーズや予算に合わせて適切なプラットフォームを選択することが重要です。それぞれの料金体系の特徴を理解し、効果的にツールを活用することで、業務の効率化やユーザーエンゲージメントの向上につなげることができるでしょう。
本記事が、Copilot StudioとAzureの料金体系の違いを理解し、適切なプラットフォームの選択に役立つ情報となれば幸いです。