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Microsoft Fabricとは?使い方や価格体系、できることを徹底解説!

この記事のポイント

  • Microsoft Fabricは、企業がデータを効率的に解析し意思決定を支援するための統合データ分析ツールです。
  • このツールはSaaS型で提供され、オールインワンのプラットフォーム内で多様なデータ分析ツールと機能を利用できます。
  • データの安全を担保するセキュリティとガバナンスの管理も、プラットフォームで一元的に行えるため安心です。
  • Microsoft365との統合機能により、分析結果をTeamsなどで素早く共有し、スムーズにアクションにつなげることが可能になっています。

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

ビジネスにおいてデータ分析の重要性が高まる中、企業が抱える課題は「大量のデータを効率的に分析し、迅速な意思決定につなげること」です。
この課題を解決するために開発されたのが、Microsoftの統合データ分析ツール「Microsoft Fabric」です。

本記事では、Microsoft Fabricの特徴や機能、使い方について詳しく解説し、このツールがいかにしてビジネスにおけるデータ分析の効率化と高度化を実現するのかを明らかにします。
データ活用に悩む企業にとって、Microsoft Fabricの理解を深め、導入の一助となることを期待しております。

なお、AI総合研究所ではMicrosoft Fabricの導入支援を行っており、ビジネスのデータ活用力強化をサポートしています。
無料相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
➡️【AI総合研究所】お問い合わせページ

Microsoft Fabricとは

Microsoft Fabric
Microsoft Fabric

Microsoft Fabricは、2023年5月に発表された統合データ分析ツールです。

PowerBIに似た使用感を持ち、以前Azureで提供されていたデータ分析機能をSaaS型のプラットフォーム内で利用できるように設計されています。

MicrosoftのCEOであるサティア・ナデラは、この発明を「SQL以来の革新」と評しています。

私たちの世界がデータに溢れている現代において、これらのデータをどのようにしてビジネスに活かすか が大きな課題となっています。Fabricは、その問題解決のために作られました。良質なAIを利用するには良質なデータが不可欠であり、Fabricはそのデータ分析を支援します。

Microsoft Fabricの特徴

Microsoft Fabricの3つの主要な特徴は以下の通りです。

  1. オールインワンプラットフォーム
    多様なデータ分析ツールと機能が一つのプラットフォーム内で提供されます。
  2. SaaS化
    クラウド上でサービスとして提供され、利用者はインフラに関わる心配なくデータ分析を行えます。
  3. セキュリティとガバナンスの一元管理
    データのセキュリティとガバナンスをプラットフォーム内で統一的に管理できます。

これらの特徴により、Microsoft Fabricは企業のデータの収集から分析、セキュリティの管理まで、一貫して同一プラットフォームで行える場所を提供しました。


そして、Fabricは全てのビジネスユーザーを支援しています。
エンジニアにはJupyter notebookのような利用環境、非エンジニアにはローコード、ノーコードで親しみやすく直感的な利用が可能です。

Jupyter notebookイメージ
Jupyter notebookイメージ

また、Microsoft365との統合がされており、分析結果はTeams等ですぐ共有することが可能です。このことで洞察を素早くアクションに繋げることが可能になっています。


Microsoft Fabricの構成

Microsoft Fabricの構成
Microsoft Fabricの構成

Microsoft Fabricは大きく2つの構成にわかれています。
1つは、Fabric本体である分析環境であり、2つ目がデータを格納するOneLakeです。

Microsoft Fabricの分析環境

  • Synapse Data Warehousing
    これは大規模なデータを格納し、分析するためのデータウェアハウスです。

  • Synapse Data Engineering
    データの加工、変換、およびロード(ETL)プロセスを実行するためのサービスです。

  • Data Factory
    データ統合サービスで、異なるデータストア間でデータを移動および変換するためのプロセスを作成します。

  • Synapse Data Science
    データサイエンスのためのツールとサービスを提供し、機械学習モデルの開発やデータ分析を容易にします。

  • Synapse Real Time Analytics
    リアルタイムでのデータ分析とインサイトの抽出を可能にするサービスです。IoTのような同期処理にも優れています。

IoT分野にも利用が可能な画像
IoT分野にも利用が可能

  • Power BI: データの可視化とビジネスインテリジェンスのためのツールで、データからインサイトを抽出し、インタラクティブなレポートやダッシュボードを作成できます。

Power BIのレポートイメージ
Power BIのレポートイメージ

OneLake

データのためのOneDriveとイメージするとわかりやすいでしょうか。
OneDriveには、ドキュメントをとりあえず入れておけば保管出来たかと思いますが、OneLakeも同様で全てのデータをOneLakeに入れることで全てのデータを管理 することができます。

例えばOne DriveやAWS、エクセルなど異なる場所にデータがあったとしても、そこを接続することで 「ショートカット」のような役割を果たし、データを移行や、コピーすることなく利用が可能 です。

コンセプトはOne Copy であり、全てのコンピューティングエンジンが同じデータにアクセスが可能です。

  • OneLake
    これは、組織のデータ湖を管理するための統一プラットフォームです。
    データレイクは非構造化データや半構造化データを含む大量のデータを保存するのに適しており、Delta-Parquet形式でデータを格納します。

  • OneSecurity
    セキュリティとコンプライアンスの機能を提供し、データの保護とガバナンスを支援します。

  • Warehouse & Lakehouse
    データウェアハウスとデータレイクを表しており、どちらもDelta-Parquet形式を使用しています。

  • Kusto DB
    データの探索と分析を可能にするためのデータベースで、大量のデータを迅速にクエリするために最適化されています。

  • Dataset
    データセットは、分析や機械学習のために準備されたデータの集合です。


このようにMicrosoft Fabricが一つの分析環境として、さまざまなサービスが統合されています。

さまざまなAIが使用できることを示す画像
機械学習、検索、ChatGPT api等も使用可能


機械学習の部分では、自社での機械学習トレーニングはもちろんのこと、ChatGPT APIの接続や、Azure AI search(Cognitive Service)を利用することも可能です。

【関連記事】
➡️Azure AI search(Cognitive Service)の詳細解説はこちら


Copilot (AI) によるサポート

Copilot (AI) によるサポート
Copilot (AI) によるサポート

Copilotが搭載していることも特徴的です。
何か困ったことがあったらFabricのCopilotに聞くことで課題を解決、分析の考察のサポート、データクレンジングの方法の提案などをおこなってくれます。


Microsoft Fabricの使い方

実際の利用事例をご紹介します。

Microsoft Fabric利用画面
Microsoft Fabric利用画面

  • 利用開始画面
    こちらがMicrosoft Fabric利用時の画面です。先ほど紹介したサービスが並んでいます。

DataWarehouseのクリック 
DataWarehouseのクリック

  • データウェアハウスの選択
    データを取り込むために、DataWarehouseをクリックします。

DataWarehouseの画像
DataWarehouseの画像

  • データ取り込み
    DataWarehouseの機能から必要な部分を選ぶことができます。今回はデータ取り込んでいきます。

データの接続先一覧
データの接続先一覧

  • データの接続先の選択
    データの接続先は豊富に選ぶことが可能です。
    今回は、 kaggleのtitanicのデータ(Excel)を取り込みます。

データのインポート
データのインポート

  • データの表示
    ドロップアンドドロップで簡単に取り込むことができました。
    列名もきちんと表示されています。

ワークスペースの作成
ワークスペースの作成

  • ワークスペースの作成
    ここで取り込んだデータがワークスペースとして利用が可能になります。

利用画面
利用画面

  • Notebookでの利用
    このデータをNotebookでも利用が可能です。
    Notebookの画面はjupyternotebookの利用画面と似ており、言語の選択、実行ボタンが用意されています。

Teamsへのレポート共有
Teamsへのレポート共有

  • Microsoft365への共有
    このような分析の結果はTeamsでレポート共有することが可能です。

今回の使用方法は一部です。多様な使用ができるfabricをぜひ試してみてください!


Microsoft Fabricの価格体系

Microsoft Fabricは、保存されたデータを利用して様々な処理や分析を行う「システム」としての機能を有しており、その容量で課金額が変化します。

OneLake Storageは主にデータの保存と管理に特化しており、「データの置き場」としての役割を持っていますので、データ容量で金額が変化します。

1年分のFabric容量の使用量に関する予約をコミットすると、Fabric 容量予約でコストを節約することもできます。

こちらはMicrosoft Fabricの容量およびOneLake Storageの詳細を表形式に整理したものです。

Microsoft Fabric 容量 (従量課金制または予約)

SKU 容量ユニット (CU) 従量課金制 (¥/時間)
F 2 2 ¥63.666
F 4 4 ¥127.332
F 8 8 ¥254.663
F 16 16 ¥509.326
F 32 32 ¥1,018.652
F 64 64 ¥2,037.303
F 128 128 ¥4,074.605
F 256 256 ¥8,149.210
F 512 512 ¥16,298.420
F 1024 1024 ¥32,596.839
F 2048 2048 ¥65,193.677

OneLake Storage 価格

ストレージ 価格 (GB あたりの¥/月)
OneLake ストレージ ¥3.7897
OneLake BCDR ストレージ ¥6.8214
OneLake キャッシュ ¥43.9597

2024年4月時点

最新情報はこちらからご確認ください。


Microsoft fabricの導入事例

Microsoft fabricの実際の導入事例をご紹介します。

  • 伊藤忠商事の事例(Microsoft Ignite 2023)

Foodata画像
Foodata画像引用:Microsoft Ignite 2023


食品の商品企画、開発業務のデータ活用にMicrosoft Fabricを利用しています。
アーキテクチャとしては、FOODATAとされる食品データをローデータとして、レイクハウスに貯めておき、ノートブックで処理をしています。そして、VisionAIで製品画像を認識し、GPTのAPIと独自の機械学習モデルを組み合わせることで、食品のキャッチコピー、イメージ画像を生成しています。

構築のアーキテクチャ
構築のアーキテクチャ


AI総合研究所の紹介

AI総合研究所はMIcrosoft Fabricを利用したAI導入をサポートしています。

「Microsoft Fabricで環境構築に興味がある」「どのようなものか実際に見てみたい」という方はご気軽にご相談ください

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まとめ

本記事では、企業のデータ活用を強力に支援する統合データ分析ツール「Microsoft Fabric」について、その特徴や機能、使い方、料金体系、導入事例まで幅広く解説しました。

Microsoft Fabricは、データの収集、処理、分析、共有までを一つのプラットフォームで実現し、ビジネスにおけるデータ活用の効率化と高度化に大きく貢献します。
また、セキュリティとガバナンスの管理機能も備わっており、安心してデータを取り扱うことができます。

データはAIにとって欠かせない重要な要素であり、その価値は今後ますます高まっていくと考えられます。
Microsoft Fabricを活用することで、AIのためのデータ基盤を強固に構築し、ビジネスの意思決定やイノベーションを加速させていくことが可能となります。

AIを活用したビジネス展開を目指す企業にとって、Microsoft Fabricは非常に有力な選択肢の一つといえるでしょう。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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