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Azure AI Agent Serviceとは?主要機能や使い方、料金体系を解説!

この記事のポイント

  • Azure AI Agent Serviceは最新AIモデルやAzure AI Foundry SDKを利用し柔軟なAIエージェント開発が可能なサービス
  • Bing、SharePoint、Fabricなど多様なデータソースとの連携
  • Logic Apps、Azure Functionsなど外部サービス連携による自動化
  • エンタープライズレベルのセキュリティ機能とデータプライバシー保護
  • マルチエージェントシステム構築を支援し、複雑な業務効率化

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。


近年、AI技術の進化は目覚ましく、ビジネスのあらゆる場面でその活用が進んでいます。
その中でも「AIエージェント」は、複雑で時間のかかる業務プロセスを自動化する強力なツールとして注目を集めています。

AIエージェントを導入することで、企業は24時間365日稼働するデジタルワークフォースを獲得し、人的リソースをより創造的な業務に集中させることが可能になります。

本記事では、Microsoft Azureが発表した「Azure AI Agent Service」について、その概要から使い方、利用可能なツールやモデル、料金体系、責任あるAIへの取り組み、そして使い方までを包括的に解説します。

これからのビジネスの変革をAIとともに歩むための一歩を、Azure AI Agent Serviceとともに踏み出しましょう。

Azure AI Agent Serviceとは

Azure AI Agent Service は、最新のAIモデルを活用し、高品質かつセキュアなAIエージェントを簡単に開発・運用できるフルマネージドサービスです。

Bing、SharePoint、Azure AI Searchなどの多様なデータソースや、Logic Apps、Azure Functionsなどの外部サービスとシームレスに連携可能です。

また、エンタープライズレベルのセキュリティ機能も備えており、組織のデータプライバシーとコンプライアンス要件を満たしながら、様々なビジネスプロセスの自動化を実現するサービスとして期待されます。

💡AIエージェントの定義

Azure AI Agent ServiceにおけるAIエージェントは、質問への回答(RAG)、アクションの実行、ワークフローの完全な自動化に使用できる「スマートなマイクロサービス」として機能します。

従来のルールベースのシステムとは異なり、生成AIモデルとツールを組み合わせることで、人間のように柔軟な思考と行動を実現しています。

AIエージェントが得意とするのは、例えば以下のような、従来のシステムでは対応が難しい、複雑で曖昧さを含むタスクです。

  • 状況に応じた柔軟な対応が求められる顧客折衝
    マニュアル化されたFAQ対応ではなく、顧客の状況、感情、文脈を深く理解し、複数の情報源(製品知識、顧客情報、過去の履歴など)を動的に組み合わせて、最適な解決策を提示します。
    さらに、必要に応じて外部サービスと連携し、問題解決のために具体的なアクションを実行します。

    例えば、複雑なクレーム対応において、顧客の状況を理解した上で、返金処理、代替品の提案、ポイント付与などを、外部システムと連携しながら自律的に行うことが想定されます。

  • パーソナライズされた提案
    顧客の過去の行動や好みを深く理解し、一人ひとりに最適化された提案を行います。
    例えば、単におすすめ商品を提示するだけでなく、「以前購入された〇〇と合わせて使うと効果的な△△はいかがですか?」といった、より踏み込んだ提案が可能です。

  • 先回りしたタスク実行
    ユーザーが指示する前に、状況を判断して自律的にタスクを実行します。例えば、会議の予定が近づくと、関連資料を事前に用意したり、参加者へのリマインドを送信したりすることが可能です。


これらは、単なる自動化を超えた、AIエージェントならではの強みです。
外部APIやサービスと連携することで、幅広いアクションを実行できるのも大きな特徴です。

https://youtu.be/dMEwpthSuhU

「Azure AI Agent Service」と「Azure OpenAI Assistants API」の違い

「Azure AI Agent Service」と「Azure OpenAI Assistants API」は、どちらもAIエージェントの構築を支援するサービスですが、いくつかの重要な違いがあります。

機能 Azure AI Agent Service Azure OpenAI Assistants API
モデルの選択 Azure OpenAIモデル、Llama 3、Mistral、Cohereなど、多様なモデルから選択可能 主にAzure OpenAIモデル
データ統合 Bing、SharePoint、Fabric、Azure AI Searchなど、広範なデータソースと統合 限定的
セキュリティ エンタープライズグレードのセキュリティ機能(安全なデータ処理、キーレス認証、パブリックエグレスなし) 基本的なセキュリティ機能
ストレージ 独自のAzure Blobストレージを使用可能、またはプラットフォーム管理ストレージを使用 プラットフォーム管理ストレージのみ
自動ツール呼び出し サーバー側で自動的に処理 クライアント側で処理が必要
データ管理 スレッドに情報を保存し、自動管理 開発者が会話の状態を管理
すぐに使用できるツール 豊富(Bing、Azure AI Search、Azure Functionsなど) 限定的


このように、Azure AI Agent Serviceは、より柔軟なモデル選択、広範なデータ統合、そしてエンタープライズレベルのセキュリティ機能を備えています。

そのため、より高度な要件を持つ企業や、セキュリティを重視する企業に最適な選択肢と言えるでしょう。

【関連記事】
Azure AI services(旧Azure Cognitive Services)とは?その概要や料金を徹底解説


Azure AI Agent Serviceの主要機能

Azure AI Agent Serviceは、迅速なエージェント開発、広範なデータ統合、柔軟なモデル選択、そしてエンタープライズ対応機能を実現し、他のサービスとは一線を画しています。

以下では、これらの特徴4つについて詳しく説明します。

Azure AI Agent Serviceの構成要素
Azure AI Agent Serviceの構成要素 (参考:Microsoft)

1. 迅速なエージェント開発と強力なAPI統合

Azure AI Agent Serviceは、OpenAIの「Assistants API」を基盤としており、複雑な設定なしに、AIエージェントを迅速かつ容易に開発できる環境を提供します。

さらに、Azure AI Foundry SDKを利用することで、開発者はPython, .NET, Javaなど、使い慣れた言語でAIエージェントを開発できます。
このSDKは、Azure AI Agent Serviceの機能を最大限に活用するための各種ツールやライブラリを提供し、より高度なカスタマイズや、他のAzureサービスとの連携を可能にします。

具体的には、以下のような強力な統合機能が利用できます。

Logic Appsコネクタ

1400以上のAzure Logic Appsコネクタを利用することで、様々な外部サービスと連携したタスクを自動化できます。

例えば、以下のようなサービスとの連携が可能です。

  • Microsoft製品
    Azure App Service、Dynamics 365 Customer Voice、Microsoft Teams、M365 Excel など

  • 主要なエンタープライズサービス
    MongoDB、Dropbox、Jira、Gmail、Twilio、SAP、Stripe、ServiceNow など


これらのコネクタを使うことで、様々な業務プロセスをエージェントに自動で実行させることが可能です。

  • 顧客情報をデータベースから取得する
  • メールを自動送信する
  • 承認ワークフローを開始する

【関連記事】
Azure Logic Appsとは?主要機能や料金、設定手順をわかりやすく解説

Azure Functions

Azure FunctionsやAzure Durable Actionsと連携することで、外部システムとのやり取りを効率化できます。

APIの呼び出しや、非同期イベントの送受信を簡単に実装でき、以下のような処理を自動化できます。

  • 請求書の自動承認処理
  • 製品サプライチェーンのリアルタイム監視
  • 顧客からの問い合わせに応じた動的な処理

【関連記事】
Azure Functionsとは?その機能や使い方、料金体系を徹底解説!

Code Interpreter

安全な実行環境でPythonコードを記述・実行できるため、複雑なデータ処理や分析、グラフや図を用いたデータ可視化をエージェントに任せることができます。

  • エージェントにデータ分析や数値計算をさせ、その結果をレポートにまとめる。
  • 機械学習モデルを使って、データを分析する。
  • 可視化ツールを利用し、分析結果をグラフで表示する。

OpenAPI仕様

OpenAPI 3.0仕様に対応したツールを利用して、外部APIと連携できます。
これにより、様々なアプリケーションと連携して、AIエージェントの活用範囲を大きく広げることができます。

  • 天気予報APIを利用して、天気情報を取得する
  • 翻訳APIを利用して、多言語対応のチャットボットを作る
  • 地図APIを利用して、周辺の店舗情報を検索する


これらの強力な統合機能により、開発者はAIエージェントを迅速に開発し、様々なシステムやサービスと連携させ、ビジネスニーズに合わせた高度な自動化を実現できます。


2. ナレッジソースとの連携

Azure AI Agent Serviceで構築されたエージェントは、以下に示す様々なデータソースに安全にアクセスし、関連性の高いエンタープライズナレッジを最大限に活用できます。

対応データソース
対応データソース (参考:Microsoft

  • リアルタイムWebデータ (Bing)
    エージェントはBing検索を利用して、インターネット上の最新情報を取得し、それを基に応答を生成できます。
    常に最新情報を反映した、正確で信頼性の高い情報を提供できます。

  • 組織データ (SharePoint)
    組織内のSharePointに保存されたドキュメントやデータをエージェントが安全に利用できます。
    社内のみに公開された情報に基づいた、より専門的な応答やタスクの実行が可能です。

  • 構造化データ (Fabric)
    Microsoft Fabric内の構造化データ(データベースなど)に、SQLなどのクエリ言語の知識がなくても簡単にアクセスできます。
    データに基づいた意思決定を迅速に行うことが可能です。

  • その他のデータソース
    Azure AI SearchAzure Blob Storage、ローカルファイルなど、様々なデータソースと連携できます。

  • ライセンスデータ
    Tripadvisorなどのデータプロバイダーから提供されるライセンスデータを利用することで、エージェントの応答をさらに高品質なものにすることができます。



例えば、顧客からの問い合わせ対応を行うエージェントであれば、社内の製品データベースやFAQ、過去の顧客対応履歴などを参照して、より正確で適切な回答を提供できます。

また、市場調査を行うエージェントであれば、Bing Searchを通じてウェブ上の最新情報を収集し、分析レポートを作成することも可能です。

これらの機能により、エージェントは常に最新の情報と社内の知識を組み合わせ、より質の高い業務遂行をサポートします。


3. 柔軟なモデル選択

Azure AI Agent Serviceでは、タスクや要件に応じて最適なモデル選択が可能です。
具体的には、以下のような選択肢があります。

  • Azure OpenAIのモデル
    GPT-4oをはじめとする、OpenAIが提供する強力なモデル群です。

  • オープンソースモデル
    「Llama 3」「Mistral」「Cohere」など、オープンソースコミュニティで開発されている高性能なモデルも利用可能です。


この幅広い選択肢により、「特定のタスクや業界に特化したモデル」や、「コスト効率に優れたモデルなど、ビジネスニーズに最適なモデルを選ぶこと:ができます。

例えば、特定の専門分野に特化した知識を持つエージェントを構築したい場合には、その分野のデータでファインチューニングされたモデルを選択できます。
また、推論コストを抑えたい場合には、軽量で高速なモデルを選択することも可能です。

さらに、テキストだけでなく画像や音声などのデータも扱えるマルチモーダル対応のエージェントを構築したい場合には、GPT-4oのように画像や音声の入出力に対応したモデルを選択することで実現できます。

4. エンタープライズグレードのセキュリティ機能

Azure AI Agent Serviceは、エンタープライズレベルのセキュリティ要件を満たすように設計されています。

安全なデータ処理、キーレス認証、パブリックエグレスなしといったセキュリティ対策により、機密データや個人情報の漏洩リスクを最小限に抑え、データのプライバシーとコンプライアンスを確保します。

  • 安全なデータ処理
    エージェントとデータソース間の通信は暗号化され、データは安全に処理されます。機密性の高い情報も安心して扱えます。

  • キーレスセットアップとOBO認証
    キーレスセットアップや代理認証(On-Behalf-Of)を活用することで、エージェントを簡単かつセキュアに構成・認証し、リソース管理とデプロイの複雑さを軽減します。

  • ネットワークセキュリティ
    独自の仮想ネットワーク(Bring Your Own Virtual Network: BYOVN)を持ち込むことで、データトラフィックの公開を厳格に制御し、ネットワーク内の対話を安全に保つことが可能です。

  • コンテンツフィルター
    事前構築済みのカスタムコンテンツフィルターにより、様々な重大度レベルで有害なコンテンツを検出し、企業ポリシーに沿った安全な運用を支援します。
    また、プロンプトシールドは、悪意のある攻撃者からのクロスプロンプトインジェクション攻撃からエージェントを保護します。


実際に使ってみましょう

では、Azure AI Agent Serviceとはどういうふうに使うのでしょうか。
実際に使っていきましょう。

大きくは以下の5ステップで実行が可能です。

  1. Azure サブスクリプションで AI ハブ を作成。
  2. AI プロジェクト を追加。
  3. Basic または Standard セットアップを選択。
  4. 必要に応じて モデルパラメーターをカスタマイズ
  5. Azure ポータルまたは Azure CLI を使用してエージェントをデプロイ。

早速実行していきましょう!

1. 前提条件

Azure AI エージェントを始める前に以下を準備します。

  1. Azure サブスクリプション

  2. .NET の最新バージョン

    • エージェント開発には必要です。システムにインストールされていることを確認します。
  3. 適切な権限

    • Azure アカウントで「Azure AI 開発者の RBAC ロール」が割り当てられていることを確認します。
  4. Azure CLI & 機械学習拡張機能

    • Azure CLI をインストール済みで、拡張機能が有効であることが必要です。
    • 既にインストール済みの場合は、az --version でバージョンを確認して最新に更新します。

2. Azure AI ハブとエージェント プロジェクトの設定

エージェントを作成するには、以下のリソースを設定します。

ステップ 1: Azure AI ハブの作成

  • 目的: ハブはエージェントの管理やリソース接続を行う中心的な役割を持ちます。
  • 方法: Azure ポータルからAzure AI Foundryを探して選択します。

Azure AI Foundryを探して選択
Azure AI Foundryを探して選択

  • Createを押して、ProjectとHubの作成を行います。

Createを押して、ProjectとHubの作成
Createを押して、ProjectとHubの作成

ステップ 2: AI プロジェクトの作成

  • 目的: プロジェクトは、エージェントが使用するリソースを管理します。
  • 方法: ハブ内で新しい AI プロジェクトを作成し、Azure AI Foundryに移行します。

Azure AI Foundry
Azure AI Foundry

ステップ 3: モデルデプロイ

  • Azure OpenAI または Azure AI サービスとプロジェクトを接続してエージェントを動かせるようにします。

接続画面
接続画面

  • デプロイができるとチャットでAIモデルが使用できるようになります。

4. 自動デプロイとモデルのカスタマイズ

Azure AI エージェントはデプロイ時に使用するモデルを設定できます。

モデルパラメーターの既定値

モデルパラメーター 既定値
modelName gpt-4o-mini
modelFormat OpenAI
modelVersion 2024-07-18
modelSkuName GlobalStandard
modelLocation eastus

カスタマイズ手順

  1. デプロイ テンプレートの編集: modelNamemodelVersion を必要に応じて変更。
  2. モデルの選択: より高性能なモデルやコスト効率の良いモデルを選択可能。

5. 独自リソースを使用する(オプション)

すでに自分の Azure リソースを持っている場合、それを活用できます。

  • 必要なパラメーター:
    • aiServiceAccountResourceId
    • aiSearchServiceResourceId
    • aiStorageAccountResourceId
  • 手順:
    • パラメーター ファイル内にリソース ID を記載。
    • aiServiceKindAzureOpenAI に設定。

6. 実践例: 基本セットアップのアーキテクチャ

  • リソース構成:
    • AI ハブ、AI プロジェクト、AI サービスが作成される。
    • gpt-4o-mini モデルが eastus リージョンにデプロイされる。
  • 特徴:
    • リソースの管理が不要。
    • Microsoft 管理のリソースを活用するためセットアップが簡単。

AIagentの作成
AIagentの作成

デプロイが完了です。
実際には、要件に合わせてカスタマイズをすることをお勧めします。


マルチエージェントシステムの作成

Azure AI Agent Serviceは、複数のAIエージェントが連携してタスクをこなす「マルチエージェントシステム」の構築もできます。

【Azure AI Agent Serviceにおけるマルチエージェント】

Azure AI Agent Serviceは、以下のフレームワークと連携することで、マルチエージェントシステムの構築を容易にします。

  • AutoGen: Microsoft Researchが開発したPythonライブラリで、複数のAIエージェントを連携させ、効率的にタスクをこなすための機能を提供します。
  • Semantic Kernel: Python, .NET, Javaに対応したSDKで、企業向けの大規模なマルチエージェントシステムを構築するための高度な機能を提供します。


    これらのフレームワークは、Azure AI Agent Serviceの機能を拡張し、エージェント間のスムーズな連携を実現します。

【マルチエージェントシステムの構築フロー】

  1. 単一エージェントの構築
    まず、Azure AI Agent Serviceを使って、信頼性が高く、安全でスケーラブルな単一のAIエージェントを作成します。

  2. エージェントの連携 次に、AutoGenやSemantic Kernelなどのフレームワークを使って、複数のエージェントを連携させます。
    これにより、各エージェントがそれぞれの役割をこなし、全体として一つのタスクを完了させることができます。

マルチエージェントシステムの構築フロー
マルチエージェントシステムの構築フロー (参考:Microsoft)

マルチエージェントが簡単に作成できる未来が待ち遠しいですね。


Azure AI Agent Serviceのツール

Azure AI Agent Serviceでは、エージェントの機能を拡張し、より正確で信頼性の高い応答を生成するために、様々なツール(拡張機能) が提供されています。

これらのツールは、大きく分けて **「ナレッジツール」**と **「アクションツール」**の2つに分類されます。

ナレッジツール

ナレッジツールは、エージェントが多様なデータソースにアクセスし、応答の根拠を明確にするために使用されます。主要なナレッジツールは以下の通りです。

Bing Search によるグラウンディング

Bing Searchによる接地を使用すると、エージェントは応答を生成する際に、リアルタイムの公開ウェブデータを組み込むことができます。

ユーザーのクエリに対し、Azure AI エージェントは、Bing Searchによる接地を活用するかどうかを判断し、必要に応じて、Bingで公開Webデータを検索し、関連する情報を返します。

例えば以下のような、最新情報を必要とする質問に対応できます。

  • 「今日のトップニュースは何か?」
  • 米国の小売業界の最近の最新情報は何か?」


開発者とエンドユーザーは、応答の生成に使用されたウェブサイトへのリンクと、検索に使用されたBingクエリへのリンクを含む引用を確認できます。
ただし、Bing Searchから返された生コンテンツ自体にアクセスすることはできません。

ファイル検索

ファイル検索は、独自の製品情報やユーザーから提供されたドキュメントなど、モデル外部の知識でエージェントを強化します。

標準のエージェント設定を使用すると、ファイルはユーザー自身のストレージに残り、Azure AI Searchソースを使用してファイルが取り込まれるため、データを完全に制御できます。

ファイルソースとしては、以下がサポートされています。

  • ローカルファイルのアップロード
  • Azure Blob Storage

また、ファイル検索ツールには、ファイルから適切なデータを抽出し、モデルの応答を補強するのに役立つ、以下のようなベストプラクティスが実装されています。

  • ユーザークエリを書き換えて検索用に最適化
  • 複雑なユーザークエリを複数の検索に分割して並行して実行

Azure AI 検索

Azure AI Searchを使用すると、既存の「Azure AI Searchインデックス」をナレッジベースとして活用できます。

Azure AI Searchツールは、デフォルトで、すべてのテキストフィールドに対してハイブリッド検索(キーワード + ベクトル)を実行します。
セマンティック構成のインデックスの場合は、「ハイブリッド + セマンティック検索」が実行されます。

SharePoint

SharePoint連携により、エージェントは「組織のSharePointサイトに保存されているドキュメントやデータ」にアクセスできます。

これにより、エージェントは社内の情報に基づいて応答を生成したり、SharePoint内のデータに対してアクションを実行したりすることができます。

Microsoft Fabric

Fabric連携により、エージェントは Microsoft Fabric内の構造化データと対話できます。

ユーザーは、SQLなどのクエリ言語やデータコンテキストを知らなくても、Fabric内のデータに関する質問をしたり、会話型のQ&Aシステムを構築したりできます。

ライセンスデータ

ライセンスデータ連携により、エージェントはTripadvisorなどの独自のデータプロバイダーからのライセンスデータを使用して応答を強化できます。

これにより、ユースケースに合わせた最新の高品質のデータをエージェントに提供できます。


アクションツール

アクションツールは、エージェントが実行時に様々な外部ツールやサービスと連携し、機能を拡張するために使用されます。

以下は、Azure AI Agent Serviceで提供されている主要なアクションツールです。

Logic Appsコネクタ

冒頭で紹介したように、Logic Appsコネクタを使用すると、エージェントは**1400以上のLogic Appsコネクタを活用して、様々なタスクを実行し、ユーザーの代わりにアクションを実行できます。

Azure Portalでワークフローのビジネスロジックを定義するだけで、エージェントを以下のような外部システム、ツール、APIに簡単に接続できます。

Azure Functions

Azure Functionsを使用すると、エージェントは サーバーレスコンピューティングのスケーラビリティと柔軟性を活用できます。
例えば、以下のような使い方が可能です。

  • イベントトリガー: チャットボットで顧客メッセージが受信されるたびにAzure関数を実行するトリガーを構成できます。
  • 非同期処理: 時間のかかる処理をバックグラウンドで実行させることができます。
  • 外部システムとの連携: 出力バインディングを使用して、Azure AI エージェント経由で応答を送信できます。

OpenAI API 仕様

OpenAI API仕様を使用すると、エージェントはOpenAI API 3.0で記述された外部APIと接続できます。
これにより、以下のようなメリットがあります。

  • 多様なシステムとの連携: OpenAPIに対応した様々なアプリケーションと連携できます。
  • スケーラビリティ: OpenAPIは業界標準の仕様であるため、将来的に連携先が増えても対応しやすいです。
  • 相互運用性: 異なるシステム間でのデータのやり取りをスムーズに行うことができます。

Azure AI Agent Serviceで利用可能なモデルとリージョン

Azure AI Agent Serviceでは、様々な機能と価格帯の多様なモデルセットがサポートされています。
モデルの可用性は、リージョンとクラウドによって異なりますので詳細をご紹介します。

Azure OpenAI モデル

Azure AI Agent Serviceは、次のリージョンで、Azure OpenAIのチャットAPIと同じモデルをサポートしています。

地域 GPT-4O, 2024年5月13日 GPT-4O, 2024年8月06日 GPT-4O-ミニ, 2024-07-18 GPT-4、0613 GPT-4、1106-プレビュー GPT-4、0125-プレビュー GPT-4、ビジョンプレビュー GPT-4、ターボ-2024-04-09 GPT-4-32K、0613 GPT-35ターボ、0613 GPT-35ターボ、1106 GPT-35ターボ、0125 GPT-35ターボ-16K、0613
アメリカ東部 - - - - -
フランス中部 - - - - - - -
東日本 - - - - - - - - -
英国南部 - - - - - - -
アメリカ西部 - - - - -

その他のモデル

Azure AI Agent サービスでは、Azure AI Foundry(旧:Azure AI Studio)モデルカタログから選択された、以下のモデルもサポートされています。

  • Llama 3.1 - 70B - Instruction: Meta社が開発した、700億パラメータを持つ大規模言語モデルです。
  • Mistral-Large-2407: Mistral AI社が開発した、高性能な大規模言語モデルです。
  • Cohere Command R+: Cohere社が開発した、ビジネス利用に適した大規模言語モデルです。


これらのモデルを使用するには、Azure AI Foundry ポータルを使用してデプロイを行い、それをエージェントで参照する必要があります。


Azure AI Agent Serviceのクォータと制限

Azure AI Agent Serviceには、サービスの安定性と公平性を確保するために、いくつかのクォータと制限が設けられています。
これらを理解し、適切に対応することで、スムーズな開発と運用が可能になります。

以下は、Azure AI Agent Serviceの主要なクォータと制限です。

リソース 制限
エージェントあたりの最大ファイル数 10,000
エージェントあたりの最大ベクトルストア数 1
スレッドあたりの最大ベクトルストア数 1
ファイルの最大サイズ 512 MB
ファイルあたりの最大トークン数 5,000,000
実行の有効期限 作成後10分


詳細なクォータと制限については、Azureの公式ドキュメントを参照してください。利用前にこれらの制限を確認し、必要に応じて上限緩和申請を行うことが推奨されます。


Azure AI Agent Serviceの料金体系

Azure AI Agent Serviceの料金は、利用するサービス(Azure OpenAI Service、Azure AI Search、Azure Functions、その他外部APIなど)の料金に基づいて算出されます。

現時点では、Azure AI Agent Service自体に独立した料金体系ページは用意されていません。
そのため、正確な料金を確認するには、利用する各サービス(例えば、Azure OpenAI Serviceの価格)の料金ページを参照し、それらを組み合わせて計算する必要があります。

特に、OpenAPI仕様に準拠した外部APIを利用する場合は、そのAPIの利用料金が発生する可能性があります。
ご利用の際は、事前に利用する各サービスの料金体系をご確認ください。


Azure AI Agent Serviceのデータプライバシーとセキュリティ

Azure AI Agent Serviceは、データのプライバシーとセキュリティを最優先に考えて設計されています。

このセクションでは、Azure AI Agent Serviceがどのようにデータを扱い、保護しているかを説明します。

Azure AI Agent Serviceが処理するデータの種類

Azure AI Agent Serviceは、主に以下の5種類のデータを処理します。

  1. プロンプトと生成されたコンテンツ
    ユーザーがエージェントに入力するプロンプトと、それに応答してエージェントが生成するコンテンツ(応答)です。

  2. アップロードされたデータ
    ファイル検索やコードインタープリターなどの特定のツールを利用する際に、ユーザーがアップロードするデータです。

  3. 外部データ
    Bing Searchツールや関数呼び出しを利用する際に、外部ソースから取得されるデータです。

  4. ステートフルエンティティのデータ
    スレッド、メッセージ、実行など、エージェントとの対話履歴を保持するために使用されるデータです。これにより、文脈に応じた応答が可能になります。

  5. プロンプトに含まれる拡張データ
    URLなど、プロンプト自体に含まれるデータで、必要に応じて応答生成に活用されます。

データ処理の保証

Azure AI Agent Serviceによって処理されたプロンプトと入力データは、MicrosoftおよびAIモデル(OpenAI、Meta、Cohere、Mistral)などのサードパーティの製品トレーニング、再トレーニング、または改善には使用されません(ユーザーの許可がある場合を除く)。

データ処理方法の概要

1,モデル推論

ユーザーのプロンプトは、指定されたモデル推論エンドポイントで処理され、応答が生成されます。この際、データは関連するモデルに適用される条件に従って処理されます。

2.データストレージ

  • 保存場所
    データは、ユーザーのAzureテナントで Azure AI Agentサービスを構成するときに作成される Azure OpenAI リソースと同じ地域に保存されます。

  • 暗号化
  • 暗号化: 保存データは、デフォルトでAES-256暗号化されます。必要に応じて、カスタマーマネージドキーも使用可能です(※プレビュー機能では利用できない場合もあります)。

  • 削除
    保存されたデータをいつでも削除することができます。

3.データ処理の場所

データ処理の場所は、モデル推論エンドポイントの構成とツールのホスティング場所によって異なります。例えば、モデルが米国東部リージョンでホストされている場合、推論処理はそのリージョンで行われます。

4.有害コンテンツ対策:

コンテンツフィルタリング機能により、不適切な出力を抑制します。ユーザーの入力およびエージェントの出力は、設定されたルールに基づいてフィルタリングされ、有害なコンテンツの生成を防ぎます。


まとめ

本記事では、Azure AI Agent Serviceの概要、特徴、ツール、利用可能なモデルとリージョン、クォータと制限、使い方、料金体系、データプライバシーとセキュリティ、そして責任あるAIへの取り組みについて詳しく説明しました。

Azure AI Agent Serviceは、AIエージェントの構築を容易にする強力なフルマネージドサービスです。 迅速なエージェント開発、広範なデータ統合、柔軟なモデル選択、エンタープライズ対応機能など、他のサービスと一線を画す多くの特徴を備えています。また、多様なツール群、利用しやすい料金体系、責任あるAIへの取り組みなど、安心して利用できる環境が整えられています。
クイックスタートガイドを活用することで、開発者は迅速にAIエージェントの開発を始めることができ、Azure AI Search、ファイル検索、コードインタープリターなどのツールを組み合わせることで、エージェントの能力をさらに高めることが可能です。

Microsoftの責任あるAIへの取り組みを積極的に行っており、このサービスへの信頼性を高めています。Azure AI Agent Serviceを活用し、AIによるビジネス変革を推進しましょう。

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本記事が、Azure AI Agent Serviceの理解を深め、活用するための一助となれば幸いです。

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