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AI-OCRの活用事例10選!導入メリットや業界別の導入事例を解説

この記事のポイント

  • AI-OCR技術の基本概念と導入メリットを詳細に解説
  • 医療、研究、行政、金融など多様な業界での具体的な活用事例を紹介
  • 各事例における導入前の課題と導入後の効果を明確に提示
  • AI-OCRによる業務効率化、コスト削減、精度向上の具体的成果を例示
  • AI-OCR導入時の注意点や今後の展望についても言及

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

AI-OCR技術の進化により、手書き文字や複雑なフォントの認識精度が飛躍的に向上し、ビジネスプロセスの効率化に大きく貢献しています。

本記事では、AI-OCRの基本概念と導入メリットを解説するとともに、医療、研究、行政、金融など多岐にわたる業界での具体的な活用事例を10件紹介します。
各事例では、導入前の課題と導入後の効果を明確に示し、AI-OCRがもたらす業務効率化、コスト削減、精度向上の具体的成果を見ていきます。

AI-OCR導入を検討する企業の皆様にとって、具体的な指針となり、自社での活用可能性を評価する上での一助となれば幸いです。

AI-OCRとは

AI-OCR(AI Optical Character Recognition)とは、人工知能(AI)を利用して画像や手書き文字、印刷されたテキストをデジタルデータに変換する技術です。

従来のOCR技術と比較して、AI-OCRは以下の特徴を持っています。

特徴 説明
高精度の文字認識 複雑なフォントや手書き文字も正確に読み取り可能
非構造化データの処理 複雑なレイアウトや曖昧な文字も認識可能
学習能力 ディープラーニングや機械学習により、使用するほど精度が向上
用途に応じた特化 印字や手書き文字など、目的に合わせて選択可能


AI-OCRの導入により、企業は大量の文書を迅速かつ正確にデジタル化し、データ入力作業の効率を飛躍的に向上させることができます。

これは単なる作業の効率化だけでなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要な要素となり、企業の競争力向上にも寄与します。


AI-OCRを導入するメリット

AI-OCRの導入は、企業に多岐にわたるメリットをもたらします。これらのメリットは主に「業務効率化」「コスト最適化」「ビジネス価値向上」の3つのカテゴリーに分類することができます

カテゴリー 具体的なメリット
業務効率化 • 高精度な文字認識による入力作業の削減
• 大量書類の迅速なデジタル化
• ヒューマンエラーの減少
コスト最適化 • 書類の印刷・保管・管理コストの削減
• 人件費の抑制
• 経営資源の効率的配分
ビジネス価値向上 • データの簡易な検索・分析による新機会の創出
• リアルタイム処理によるタイムリーな意思決定
• 多言語対応によるグローバル展開の促進
• セキュリティ向上による情報保護の強化


これらのメリットにより、AI-OCRの導入は組織の生産性向上と競争力強化に大きく貢献します。

ただし、導入に際しては自社の業務プロセスや目的に合わせて適切なシステムを選択し、段階的に導入を進めることが重要です。
また、従業員のトレーニングやデータ管理体制の整備など、導入後の運用面にも注意を払う必要があります。


AI-OCRの導入事例10選

AI-OCRの導入は、様々な業界で業務効率化とデジタルトランスフォーメーションを推進しています。

ここでは、実際の企業や組織がAI-OCRをどのように活用し、どのような成果を上げているかを紹介します。

1.【医療】富士通株式会社

富士通株式会社によるAI-OCRの活用
富士通株式会社によるAI-OCRの活用

富士通株式会社は、世界市場で50%以上のシェアを誇るスキャニング技術のリーダーです。
同社は、Microsoft Azure Form Recognizerを導入し、クラウドスキャニングソリューションの性能と精度を向上させました。

このAI-OCR技術の導入により、**文字認識率は99.9%**に達し、社内でわずか数カ月という短期間で実装されました。

特に医療機関などの業界で業務効率を大幅に向上させており、エンドツーエンドのセキュリティ確保により、顧客にとって大きなメリットをもたらしています。

詳細はこちら▼
富士通、Azure導入で文書認識革新

2.【研究】バイヤスドルフ社

バイヤスドルフ社によるAI-OCRの活用
バイヤスドルフ社によるAI-OCRの活用

ドイツのスキンケアメーカーであるバイヤスドルフ社は、Azure Cognitive Searchを活用して、AIによる知識探索システムを実現しました。
このシステムは、文書の要約、セマンティック検索、文書タグ付け、光学文字認識(AI-OCR)などの機能を備えています。

これにより、900人以上の研究者が迅速に必要な情報を見つけられるようになり、業務効率が大幅に向上しました。
情報検索に費やす時間が削減され、業界をリードする製品開発に集中できるようになりました。

詳細はこちら▼
Azure AIによるスキンケア研究を革命化:Beiersdorfの革新旅

3.【行政】神奈川県

神奈川県によるAI-OCRの活用
神奈川県によるAI-OCRの活用

神奈川県は、AI inside 株式会社が開発した「DX Suite」を使用して、手書き文字の自動デジタル化を推進する実証事業を実施しました。
政治資金収支報告書、漁獲量に関する送り状、水源地域キャンペーンアンケートの3種類の帳票を対象としました。

結果として、書類100枚の処理を手作業と比較して約75%の時間で完了し、平均93.4%の高い正読率を達成しました。
この成功例は、行政サービスにおけるAI-OCR技術の有効性を示しています。

詳細はこちら▼
神奈川県 AI-OCRの推進に向けた取組

4.【行政】福岡市

福岡市によるAI-OCRの活用
福岡市によるAI-OCRの活用

福岡市は、株式会社NTTデータ九州と協力してAI-OCR技術を活用し、行政手続きのデジタル化を進めています。
この技術により、書類の自動データ化が可能となり、手続きの速度と正確性が大幅に向上しました。

その結果、手続きのオンラインでの申請率は約86.2%に達し、年間約13,270時間の業務時間削減を実現しています。市民はどこからでも手続きが可能で、デジタル技術の利便性を直接実感しています。

詳細はこちら▼
福岡市 業務効率化に向けてAI-OCRの実用性を検証

5. 【子育て支援】川口市

川口市によるAI-OCRの活用
川口市によるAI-OCRの活用

川口市は、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の一環として、AI-OCR技術を子育て支援の申請書類処理に活用しています。
親が提出する各種証明書や申請書をAI-OCRで読み取り、必要なデータを自動でシステムに入力しています。

これにより、市民の窓口での待ち時間が大幅に短縮され、市の職員のデータ入力の手間も削減されました。さらに、正確なデータ処理が可能になり、効率的な行政サービスの提供に寄与しています。

詳細はこちら▼
川口市DX推進指針

6.【輸出入通関】株式会社住友倉庫

株式会社住友倉庫によるAI-OCRの活用株式会社住友倉庫によるAI-OCRの活用

株式会社住友倉庫は「SWAN+」という輸出入通関業務のスリム化と情報管理一元化を実現するサービスを導入しています。

このサービスにはAI-OCR技術が活用されており、関連書類の自動データ化や通関申告書のAI支援作成が可能となっています。
これにより、手続きの迅速化と精度向上を実現し、物流効率の向上とコスト削減に成功しています。

詳細はこちら▼
株式会社住友倉庫 輸出入通関業務をもっとラクに、スムーズに。SWAN+

7.【保険】MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社

MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社によるAI-OCRの活用
MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社によるAI-OCRの活用 (参考:MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社)

MS&ADインシュアランス グループは、AI-OCR技術を活用して自賠責保険の解約手続きを自動化し、年間約4万時間の業務時間削減に成功しています。

全国から送られてくる解約書類をPDF化し、AIによりテキスト化した後、RPAを用いてデータの自動入力を実施しています。これにより、手続きの正確性と迅速性が大幅に向上しました。

8.【銀行】株式会社みずほ銀行

株式会社みずほ銀行によるAI-OCRの活用株式会社みずほ銀行によるAI-OCRの活用

株式会社みずほ銀行の「みずほデジタルアカウンティング」サービスは、AI-OCR技術を活用して経理業務を効率化しています。

請求書のスキャンデータをAIが解析し、文字データを抽出して仕訳データや振込データを自動生成します。これにより、経理作業の精度向上と業務の迅速化を実現しています。

詳細はこちら▼
株式会社みずほ銀行 みずほデジタルアカウンティング

9.【データ入力】日本ガス株式会社

日本ガス株式会社によるAI-OCRの活用日本ガス株式会社によるAI-OCRの活用

日本ガス株式会社は「DX Suite」のAI-OCR技術を導入し、業務プロセスの効率化を実現しました。
従来5分かかっていた書類のデータ入力作業が30秒で完了するようになり、大幅な時間削減を達成しました。

また、帳票の自動識別や手書き文字の高精度データ化により、業務の正確性も向上しています。

詳細はこちら▼
日本ガス株式会社 AI-OCRを活用して作業人員はそのままに業務時間を5分から30秒に大幅削減!

10.【物流】SGホールディングスグループ

SGホールディングスグループによるAI-OCRの活用SGホールディングスグループによるAI-OCRの活用

SGホールディングスグループのSGシステム株式会社は、AIを活用したOCRプラットフォームサービス「Biz-AI×OCR」を提供しています。
このサービスは、手書きの日本語を含むさまざまな文字を高精度に読み取ることが可能で、特に佐川急便の手書き伝票の読み取りに利用されています。

手書き入力業務の自動化率は91.40%、読み取り精度は99.49%に達しており、業務効率の大幅な向上を実現しています。

詳細はこちら▼
SGシステム AI-OCRプラットフォームサービス「Biz-AI×OCR」に 業務自動化率9割を超える手書き日本語AIモデルを搭載 ~佐川急便の手書き伝票読み取りで実績のあるAIモデルを活用~


まとめ

本記事で紹介したようにAI-OCR技術は進化を続けており、文書のデジタル化やデータ処理の自動化によって業務効率を大幅に向上させることが可能です。これにより、手作業による入力ミスが減少し、コスト削減にも大きく貢献します。
導入に際しては、精度の向上やセキュリティ対策が重要ですが、技術の進化と適切な管理によりこれらの課題は解決が可能です。

ぜひ本記事を参考にして企業内でのAI-OCRの活用を検討してみてください。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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