この記事のポイント
- Microsoft Copilotは生成AIを搭載した高度なAI検索ツール
- チャット、ブラウジング、画像認識・生成など多彩な機能を無料で提供
- Microsoft Edgeブラウザで利用すると機能を最大限に活用可能
- ChatGPTとの違いは、リアルタイムの情報更新と情報源の提示
- ビジネスでの活用例として、文書作成や市場分析、顧客サポートの自動化などが可能
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
AIや機械学習の分野で革新を続けるマイクロソフトが提供する、ユーザーの検索体験を根本から変えるAIツール「Microsoft Copilot」について紹介します。
この記事では、Microsoft Copilotとは何か、その特徴や機能、使い方から始め方、さらにはChatGPTとの違いまで、幅広く解説していきます。
高度なAI機能を搭載したBingAIが日常の情報検索にどのような変革をもたらし、ビジネスや学習にどのように応用できるのか、具体的な事例と共にお伝えしていきます。
最先端テクノロジーの活用に関心のある方はぜひご一読ください。
目次
Microsoft Copilot (旧:Bing AI)とは
Microsoft CopilotとCopilot for Microsoft 365の違い
Microsoft Copilot (旧:Bing AI)とは
Copilotは、2023年2月にマイクロソフトが発表した検索エンジン「Bing」の新機能であり、AIチャット機能を搭載したことで話題となりました。
元々は「Bing AI」という名前で知られていましたが、現在では、Microsoft Copilotと名前が変更されています。(2023年3月16日にMicrosoftが開発者イベント「Future of Work with AI」において改名を発表。)
Microsoft Copilot
このAIはMicrosoftのブラウザ「Edge」にも統合され、ユーザーが対話形式で情報検索を行えるようになっています。
また、Microsoft Copilotは、OpenAIの大規模言語モデルであるGPT-4を搭載しており、高度なAI検索を体験できるようになりました。
Microsoft Copilotの機能
Microsoft Copilotの搭載機能について、具体的な事例と一緒に見ていきましょう。今回は、チャット機能、ブラウジング機能、画像認識機能、画像生成機能の4つの機能について解説します。
チャット機能
Microsoft Copilotは高度なAIを用いたチャット機能を備えており、ユーザーの問い合わせに対して即座に回答を提供します。
また、以下のように、会話中に「創造的」、「バランスよく」、「厳密に」という3つのモードを自由に切り替えることができるため、目的に合わせた仕様にすることができます。
ブラウジング機能
Copilotのブラウジング機能により、インターネット上の情報を直接検索し、結果をユーザーに提供することができます。
画像認識
Copilotは画像認識機能を備えており、アップロードされた画像を分析して、その内容に関する情報を提供することができます。
画像生成
Copilotの画像生成機能は、テキストの指示に基づいて新しい画像を作成することが可能です。これにより、アイデアの視覚化やクリエイティブなプロジェクトのサポートが行えます。
検索結果とチャットの同時画面表示
Copilotでは、検索結果とチャットを同時に画面上に表示する機能が備わっています。これにより、ユーザーはAIからの回答を参照しながら、同時にウェブ上の他の情報源を確認することができます。
この同時表示機能は、ユーザーが情報を総合的に理解するのを助け、さらに詳細な調査や比較を行いたい場合に非常に役立ちます。検索体験がよりシームレスで効率的になり、ユーザーが必要とする情報へ迅速にアクセスできるようになります。
Microsoft Copilotの使い方
Copilotの利用方法は、主に以下の2つです。
- Microsoft Edgeで利用する方法【おすすめ】
- 通常のWebブラウザ(SafariやGoogle Chrome)で利用する方法
ChatGPTの様に、会話形式で文章や画像を生成する使い方をする分には、SafariやChromeなどのブラウザでも使う事ができます。しかしそれだけではCopilotの能力を最大限引き出せません。
Microsoft Edgeを使う事で、Webサイトを巡っている時、YoutubeやXを閲覧している時など、サイドバーからすぐにCopilotを呼び出して活用する事ができます。
ここでは、それぞれの利用手順について解説していきます。
Microsoft EdgeでCopilotを利用する方法
-
「Microsoft Edge」をインストールします。
-
Microsoft Edgeを開いたら、トップページ一番右上のCopilotのボタンを押します。
-
すると、Copilotとのチャット画面が表示されます。
先述したように、Copilotを最大限有効活用するためにはMicrosoft Edgeでの利用がおすすめです。
Microsoft Edge限定の機能については、後述するCopilotを利用する前に知っておきたいポイントをご覧ください。
WebブラウザでCopilotを利用する方法
-
利用中のブラウザでBingを検索し、Bing.comのページにアクセスします。
Bingを検索
-
トップページの「Copilotマーク(虹色)」をクリックします。
画面上部:「Copilot」マーク
-
すると、会話画面が表示されます。チャット欄に質問を入力することで、その機能を利用できます。
Copilotを利用する上で知っておきたいポイント
Copilotをより効果的に利用するために、以下の重要なポイントを把握しておくことが重要です。
それぞれ詳しく解説していきます。
利用ブラウザはMicrosoft Edgeがおすすめ
Copilotは様々なブラウザに対応していますが、「Microsoft Edge」ブラウザから利用することでその魅力を最大限体験できます。
スムーズな会話や質問
例えば、Amazonで商品を探している時に、会話する様な形で指示を出すだけでネットで検索し、回答してくれます。
画像は一例ですが、「このクラフトビールに合うおつまみ探して」や、「この映画が見れる動画サービスを教えて」など、幅広い用途に使えます。
ブラウジング中に質問が可能
ページの要約の作成
ワンクリックで、開いているWebサイトの要約を作成する事ができます。
また、Webサイトだけで無く、論文等のPDFファイルの要約も作成する事が可能です。
ページの要約
Youtubeなどの動画の要約の作成
ページの要約だけでなく、動画の要約も可能です。
ChatGPTでも追加プラグインやChromeの拡張機能を駆使して、Youtubeの要約や文字起こしをする事が可能でしたが、Copilotなら誰でもワンクリックで動画の要約を作成できます。
Youtubeの要約
Copilotは日本語対応・スマホアプリが利用可能
Copilotは多言語対応しており、日本語でも自然な対話が可能です。これにより、日本のユーザーも言語の壁を感じることなくCopilotの機能を最大限に活用できます。
また、Copilotはスマートフォン用のアプリ(IOS・Andoroid)も提供しています。これにより、ユーザーはPCだけでなく、外出先や移動中でもCopilotにアクセスし、必要な情報を取得したり、アイデアを記録したりすることができます。
Copilotのスマホアプリ
質問回数に制限がある
Copilotを使用する際には、一つの会話セッションにおけるやり取り(ターン数)に制限が設けられています。
具体的には、一つの会話でのやり取りが30回までという制限があり、これを超えると会話を続けることができなくなります。また、一日における会話の総回数も制限されており、合計で300回までとされています。
この制限は、システムの過負荷を防ぐために設けられているもので、ユーザーが効率的に情報を得るためにも、質問を的確にし、必要な情報を効率的に得られるよう心がけることが重要です。
Microsoft Copilotを利用するメリット
Copilotの強み、特徴をクリエイティブなコンテンツが作成可能・最新情報を踏まえて回答してくれる・検索意図と回答のマッチング精度が高いという3つの視点から解説していきます。
GPT4を搭載:クリエイティブなコンテンツが作成可能
Copilotの根幹を支えるのは、OpenAIによって開発された言語モデルGPT-4です。この技術を搭載することで、Copilotはユーザーからの様々な質問に対して、人間と同様に自然で理解しやすい回答を提供することができます。
さらに、このAIはクリエイティブなコンテンツ制作にも対応しており、記事の作成、アイデアの生成、さらにはDALL-E3による画像の生成も無料で行うことが可能です。
これにより、ビジネス資料の作成から個人の創作活動に至るまで、幅広い用途での活用が期待されています。
最新情報を踏まえた回答と情報源の提示
Copilotは、Bingの検索エンジンと連携することで、インターネット上の膨大な情報から最新のデータを収集し、ユーザーに提供する能力を持っています。このため、世界中で起こっている出来事や最新のニュースに関する質問に対しても、タイムリーかつ正確な情報を提供することができます。
さらに、Copilotは回答を提供する際に、その情報源となるウェブページのリンクを提示してくれます。これにより、ユーザーは提供された情報の信頼性を自分で確認することができます。
また、複数の情報源から得られた知識を組み合わせて回答を生成するため、単一の情報源だけでは得られない、より深い理解を得ることが可能になります。
検索意図と回答のマッチング精度が高い
Copilotの最大の特徴の一つは、ユーザーの検索意図を正確に理解し、最も適切な回答を提供する能力にあります。この高いマッチング精度は、情報収集の効率を大幅に向上させます。
ユーザーが曖昧な質問を投げかけたとしても、Copilotは質問の背景や文脈を読み取り、意図に沿った回答を返すことができるのです。
これにより、ユーザーは必要な情報を素早く簡単に得ることができ、研究や学習、日常生活の中での疑問解決に役立てることができます。
Microsoft CopilotとCopilot for Microsoft 365の違い
「Microsoft Copilot」と「Copilot for Microsoft 365」は混合されがちですが、両者はその機能や目的が異なります。
Microsoft CopilotはChatGPTのように、「質問や画像生成などをブラウザ上で行えるAIツール」です。
一方で、Copilot for Microsoft 365は、「Microsoft 365のWord、Excel、PowerPointなどのアプリケーションとシームレスに連携して利用することができるAIツール」です。
これにより、ドキュメントの作成や編集、データ分析、プレゼンテーション資料の作成などの作業を、AIの支援を受けながらスムーズに行うことが可能です。
個人ユーザーは、月額3,200円の「Copilot Pro」サブスクリプションに加入することで、Copilotの高度な機能を利用できます。Copilot Proでは、無料版よりも処理速度が優先され、ピーク時でも迅速な対応が可能です。
さらに、外部ツールやサービスへの簡単な接続機能も利用できるようになります。
一方、法人ユーザーは、Microsoft 365のサブスクリプションに含まれているCopilotの機能を利用することができます。
Microsoft 365アプリでCopilotを活用してできること
Microsoft 365アプリとCopilotの統合によって可能になる各アプリの機能をまとめてみました。
アプリ | 機能 |
---|---|
Outlook | - メールの要約 - 返信の提案 - メール作成のサポート - メールのコーチング |
Word | - 下書きの作成 - 文章の推敲 - 書き換え - 提案書の下書き作成 - 文章のトーン指定 |
Excel | - 表やグラフの自動作成 - 数値データの解析 - トレンド分析 - 予測 |
PowerPoint | - プレゼン資料の自動作成 - イラストやアニメーションの挿入 - 資料の修正 |
OneNote | - メモの要約 - ToDoリストの作成 - 販促アイデアの創出 - イベントプランの設計 |
Teams | - 議事録の作成 - 会議の要点まとめ - 会議後の共有サポート - スケジューリング |
これらの新機能により、Copilotはユーザーにとってよりパーソナライズされ、多様なニーズに応える検索ツールへと進化を遂げています。
情報の共有、効率的な情報収集、そして外部サービスとのシームレスな連携は、今後の検索体験の新たなスタンダードを形成していくでしょう。
Microsoft CopilotとChatGPTの違い
CopilotとChatGPTは、どちらも自然言語処理に基づくAIアシスタントですが、その特徴や機能には違いがあります。
ここでは、開発者、データの最新度合い、料金体系、機能、使用制限、強み、弱みなどの観点から、両者を比較していきます。
以下の表は、CopilotとChatGPTの主な違いをまとめたものです。
項目 | ChatGPT | Microsoft Copilot |
---|---|---|
開発者 | OpenAI | Microsoft |
データの最新度合い | GPT-3.5: 2021年9月まで、GPT-4: 2023年4月まで | リアルタイム(Bing検索エンジン利用) |
有料版の料金 | 月額約3,000円(ChatGPT Plus) | 約3200円(Copilot Pro) |
有料版の機能 | - GPT-4利用 - 優先アクセス - 高速応答 |
- 現在は無料で全機能利用可能 |
使用制限 | 無料: GPT-3.5は基本的に無し、GPT-4は一部制限あり 1会話あたり15回まで | |
強み | - 精度の高い会話 - 創造的な回答 |
- 最新情報取得 - 情報源の提示 |
弱み | - 最新情報の取得に限界 | - Bing検索依存 - 長文生成に制限 |
ChatGPTは高精度な会話生成と創造的な回答が強みですが、最新情報の取得に限界があります。一方、Copilotは最新情報の取得と情報源の提示が強みですが、Bing検索に依存しており、長文生成に制限があります。
また、現在Copilotは無料で利用できますが、将来的に有料化される可能性があります。ChatGPTは有料版のChatGPT Plusを提供しており、GPT-4の利用や優先アクセス、高速応答などの機能が含まれています。
両者の使い分けは、ユーザーのニーズと予算に応じて決定すると良いでしょう。
【関連記事】
➡️ChatGPTとMicrosoft Copilotの違いは?それぞれの違いを徹底解説
Copilotのビジネスへの活用例
Microsoft Copilotの導入により、文書作成、メールの自動返信、スケジュール管理などの日常的な業務が大幅に時間短縮されることが期待されます。また、ビッグデータの分析やトレンドの予測など、従来は専門知識を要した作業も、Copilotがサポートすることで、より迅速かつ正確に行うことが可能になります。
実際に、Microsoftが行った調査によると「過半数のユーザーが生産性向上と業務時間の削減を実感している」という結果が見られました。
Copilot初期ユーザーの声 (参考:Microsoft)
また、「Copilotには無料ランチ以上の価値があるか?」という問いに対して、8割以上のユーザーがCopilotと答えたそうです。
Microsoftによるアンケート (参考:Microsoft)
Copilotをビジネスや学習に活用する具体例
- 顧客サポートの自動化
Copilotを活用して、顧客からの問い合わせに対する自動応答システムを構築し、顧客満足度の向上とオペレーションコストの削減を実現します。
- 市場分析と戦略立案
Copilotを用いて市場のトレンド分析や競合分析を行うことで、データに基づいた戦略立案が可能になり、意思決定の迅速化と正確性が向上します。
- パーソナライズされた学習支援
教育現場や社内教育において、学習進度や理解度に応じて、個別の学習計画や補助資料を提供し、一人ひとりに合わせたパーソナライズされた学習サポートを実現します。
- 研究支援
大量の論文や資料から必要な情報を迅速に抽出し、研究者が求めるデータや先行研究の概要を提供することで、研究の効率化と質の向上が期待されます。
Copilotの導入は、業務の自動化、効率化だけでなく、新たなビジネスチャンスの創出や教育の質の向上にも貢献する可能性があります。AI技術を上手く活用するためには、Copilotの機能を最大限に活用し、その特性を理解し、適切に導入することが重要です。
まとめ
Copilotは革新的な検索技術であり、情報検索の手法に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。しかし、その有効活用のためには、利点と制約を十分に理解することが不可欠です。
Copilotを使うことで、情報の検索と収集のスピードが飛躍的に向上し、より精確な結果を得ることができます。これは、ビジネスや学術の分野において、大きな利益をもたらすでしょう。一方で、Copilotを使用する際には、その限界を認識し、慎重に対話型検索を行う必要があります。
Copilotが提供する便利さを享受しつつ、その使用方法に必要な配慮を怠らないことが、このテクノロジーを最大限に活用するための鍵となります。ユーザーは、Copilotの機能を理解し、適切に利用することで、情報検索の効率化と高度化を実現できるでしょう。
同時に、Copilotに過度に依存することなく、従来の検索手法も併用しながら、バランスの取れた情報収集を心がける必要があります。Copilotは強力なツールではありますが、万能ではないことを認識し、その特性を理解した上で活用することが重要です。